かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ第25回演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和7(2025)年10月11日に聴きに行きました、オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウの第25回演奏会のレビューです。

オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウさんは東京のアマチュアオーケストラです。しかし普通のアマチュアオーケストラではありません。ピリオドって入っているの、気になりません?実はアマチュアオーケストラでは珍しい、古楽演奏の団体なのです。

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10月はいろんな団体のコンサートを予定しているのですが、中でもこのオーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウさんを選択したのはまさに古楽演奏だからです。プロならバッハ・コレギウム・ジャパンを初めてとして今は多くの団体があり珍しいものとは言えなくなっていますが、さすがにアマチュアオーケストラとなると珍しく、これは行かなければ!と思い足を運んだ次第です。

過去の演奏をウェブサイトで参照してみると比較的残響のいいホールで行っていますが、今回は清瀬けやきホール。残響がいいホール・・・ではなく外観は珍しい形をしていますが基本的に多目的ホールです。

kiyosekeyakihall.jp

ただ駅からは物凄く近く、駅前には食べ物屋さんも多くあるのでコンサートを楽しむのにはいい街だと思います。買い物も北口に西友、南口にオーケーがあるので、外でお弁当にすればかなり安く食事は済みます(実際帰りに前日に買いそびれた食材をオーケーで買い求めました)。庶民的な街だと言えるでしょう。

そんな街での今回のコンサート、実に素晴らしいものでした。しかも、演奏会も1時間30分程度と短く、当日鉄道系YouTuberのカコ鉄さんのプレミア公開があったので助かりました・・・2時間だったら間に合っていませんでした・・・

さて、今回のプログラムは以下の通りです。
モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス
モーツァルト マーチ ニ長調
モーツァルト 交響曲第31番「パリ」
ベートーヴェン 交響曲第1番

アヴェ・ヴェルム・コルプスはアンコールではないの?というア・ナ・タ。いいえ、当日のパンフレットにしっかりと記載がありました。オーケストラだけ?いいえ、合唱団も参加しています。詳しくは、各曲で見ていきます。

モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス
モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスは、1791年に作曲したモテットです。

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晩年の作品で、レクイエムとほぼ同じ時期に作曲されているため、レクイエムのアンコールとして歌われることも多い曲です。なのでこの曲がアンコールとして捉えられるのも自然なことではあるのですが、今回はしっかりとプログラムに記載がなされています。となればそれは意味があってのこと。

オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウは、日本の古楽演奏の草分け的存在である、坂本徹さんにより創設された団体なのです。この方、バッハ・コレギウム・ジャパン鈴木雅明氏よりもそのキャリアが素晴らしいのです。

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その坂本氏は上記ページで触れられている通り、今年2025年8月に逝去されました。実は今回最初にアヴェ・ヴェルム・コルプスが演奏されたのはこの坂本氏追悼のためだったのです。オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウの音楽監督と指揮者を務め、さらには古楽演奏の合唱団も創設され指導と指揮もされています。今回、その合唱団である東京クラシカルシンガーズも舞台で歌いました。清瀬けやきホールは決して大きな舞台ではないのですが、狭いホールを有効活用すべくオーケストラの前方に配置しました。バッハ・コレギウム・ジャパンのように少数精鋭の合唱団であるがゆえに選択出来た編成です。

tokyoclassicalsing.wixsite.com

ウェブサイトを見てみると、実際にオーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウさんとの共演経験もあります。そういった関係性から今回参加をされたと考えられます。合唱団も各パートが安定しておりぶら下がった音も聴こえてこないのが素晴らしいです。勿論、オーケストラにもやせた弦の音などは聴こえません。のっけからその実力の高さを見せつけます。本来なら拍手やブラヴォウをかけるところですが、追悼演奏なので拍手等はご遠慮くださいとのことだったので、静かに追悼させていただきました。健康であったならば私も坂本氏のタクトを見たかったです。

また今回、編成にオルガンが入っていましたがなんとこのアヴェ・ヴェルム・コルプスだけのためなんです。いやあ、太っ腹な団体だと思います。それだけ気合が入っている団体だとも言えるでしょう。それだけに、坂本氏の逝去は残念です。

モーツァルト マーチ ニ長調
今回演奏されたモーツァルトのマーチは、K.335です。本来は2曲セットの曲ですが今回は第1曲だけが演奏されました。

www.marimo.or.jp

活き活きとした演奏で、しかもデッドな清瀬けやきホールでも豊潤な響きを聴かせてくれます。指揮者は山根風仁さん。この方も実はヒストリカルチェロ奏者なんです。またそのキャリアもバッハ・コレギウム・ジャパンやオーケストラ・リベラ・クラシカと華麗なもので実力もあります。実際打点は高い位置ではっきりしているのでオーケストラからは見やすそうです。ヴァイオリンが両翼配置になっているのですがアンサンブルは乱れません。それは山根さんの打点がいいことが理由だと思われます。

途中コル・レーニョもあるためオーケストラとしては怖い曲だと思うのですが、それを思い切ってやってしまうのは本当に気合が入っているなあと感じます。ピリオド楽器は当然モダンよりもお金がかかるわけなので・・・モダン楽器でもお金かかるんですよ?ピリオドだったらなおさらです。それでもチャレンジするのがアマチュアらしさで、いいですね~。

実は、コンサートマスターの大西律子さんは古楽コンクールに出場経験があり、さらにモーツァルト・アカデミー・トウキョウのコンサートマスターでもあります。さらに国立音楽大学の非常勤講師と、そもそもプロなんですね。ある意味、オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウさんはMAXフィルハーモニー管弦楽団さんのようにプロもアマチュアとして参加している団体だと言えるでしょう。そのスタイルは3プロ以降でさらに力を発揮します。

モーツァルト 交響曲第31番「パリ」
モーツァルトの「パリ」は1778年にパリの音楽団体「コンセール・スピリチュエル」のために作曲された作品です。

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パリの聴衆の意向を考慮して3楽章制だとか、クラリネットが採用されたなどいろいろな特色がある作品ですが、今回のトピックはその配置にあります。ヴァイオリンが両翼配置であることはすでに述べましたが、実はその周りを管楽器が取り囲んでいます。これは指揮者山根さんの意向で初演時はこうなっていたはずだとのことでの配置です。それがまったくそん色ないどころかむしろ自然に聴こえてきます。演奏も気品を持ちつつ生命力がありますし、デッドなホールであるがゆえに各パートの音もはっきりと聴こえます。

しかも古楽なので金管のトランペットとホルンはナチュラルで、つまりバルヴがないんです。それでも安定した音を出すうえで生命力っがあり豊潤でもあるという・・・それで無料って、もうこんなに幸せなことはありません。モーツァルトの音楽は天上の音楽とも言われますが、本当に美しく魂が洗われました。

ベートーヴェン 交響曲第1番
さて、メインはベートーヴェン交響曲第1番。1799~1800年にかけて作曲された、ベートーヴェンの栄えある交響曲の第1作目です。モーツァルトハイドンの影響もありつつもすでに個性も現れています。

ja.wikipedia.org

このベートーヴェンの第1番では序奏はゆったりとしていましたが第1主題が始まったとたんアグレッシヴに。それでいて単にテンポが速いだけでなくアクセントもしっかりついており、私も聴いていてノリノリです。心の底から感情が湧き上がってくるのが分かり、感動しっぱなし。第1番にもしっかりとベートーヴェンの魂が反映されていることがわかる演奏です。

最後までアグレッシヴさが貫かれており、その上で気品もあります。演奏が終わった後ついにブラヴォウ!をかけました。アマチュア古楽演奏でプロに引けを取らない演奏をしたのですから当然だと思っています。コンサートマスターの大西さんのキャリアを見るにつけ、恐らく団員の多くもプロもしくはセミプロが余暇でやっているのではと愚考します。

今回アンコールはなしで1時間30分ほどの公演でしたが、大満足です。ぜひ次回も足を運びたく思います。できれば府中の森芸術劇場ウィーンホールのような響きのいいホールでの演奏が是非とも聴きたいところです。

 


聴いて来たコンサート
オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ第25回演奏会
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
アヴェ・ヴェルム・コルプスK.623
マーチ ニ長調K.335
交響曲第31番ニ長調K.297「パリ」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第1番ハ長調作品21
東京クラシカルシンガーズ
大西律子(コンサートマスター
山根風仁指揮
オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウ

令和7(2025)年10月11日、東京、清瀬清瀬けやきホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。