かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:小澤征爾とサイトウ・キネン・オーケストラによるブラームス交響曲全集1

東京の図書館から、今回と次回の2回に渡り、府中市立図書館のライブラリである、小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラによるブラームス交響曲全集を取り上げます。

サイトウ・キネン・オーケストラで全集と言えば、このブラームスのが代表的とも言われます。サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)で全曲演奏もされているのでそのCDも出ていると思われがちですが、実はそのCDが今回ご紹介するCDなのですが、松本での収録ではなくフェスティバルが始まる前に、ヨーロッパで収録されたものです。

www.ozawa-festival.com

なので元々はレーベルはフィリップスですが、現在はデッカに移されていますので、この全集も実はデッカのものです。私としてはフィリップスで知っている全集です。当時欲しかったCDですがなかなか手が出なくてようやく図書館で借りてきてリッピングしてという形で実現しました。

全部で2枚組ですが、今回は1枚目を取り上げます。1枚目に収録されているのは第1番と第3番。ありゃりゃ、番号順じゃないのね・・・全集では意外と奇数と偶数でまとめられていることが多いですね。第1番と第2番でもよさそうだとは思いますが・・・演奏時間の都合かと思います。そうはいってもこの1枚目も1時間20分の演奏時間ですが・・・

この録音は第1番が1990年、第3番が1991年。当時私は大学2年生と大学3年生。合宿に行く資金だけで夏が12万円ほど、春が5万円程度と、結構するので学業とアルバイトでなかなかクラシック音楽のCDを買うと言うお金がなく、優先順位を付けざるを得なかったのでこのサイトウ・キネン・オーケストラブラームス交響曲全集を買うだけの余裕はありませんでした。廉価CDがある時代でもないので1枚当たり3000円はする時代でしたから。古美術って本当にお金かかるんです・・・現地で実物を見るとなるとほとんど関西ですから、旅費が相当かかるためです。夏合宿なんて京都の旅館に1週間ほど泊まり込みは当たり前でしたので、1枚3000円もするCDなどなかなか毎度買うようなことは手が出なかったのです・・・

さて、小澤征爾の指揮はステディですが随所にオーケストラを歌わせているため、あっという間に時間が過ぎ去っていきます。感情が豊かでまさにブラームスと言った演奏です。オーソドックスなのに演奏に引き込まれるのはさすが小澤征爾ですしまたサイトウ・キネン・オーケストラです。

さて、録音はヨーロッパで行われたと言いましたが、第1番と第3番とではホールが異なっています。第1番がベルリンのシャウシュピール・ハウス、第3番がオランダのナイメーヘンナイメーヘンと都市名しか記載がないのですが、恐らくコンセルトヘボウ・デ・フェリーニヒングだと思います。また、シャウシュピール・ハウスも伝統的はホールで東ドイツ時代には多くの名だたるオーケストラも演奏会を開き、現在でもベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団(かつてのベルリン交響楽団)の本拠地です。

en.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

コンセルトヘボウ・デ・フェリーニヒングもシャウシュピール・ハウスも共に名だたるオーケストラや指揮者が舞台に立ち、評判もいいホール。そこで欧州ツアーで収録を行ってしまうという所に、サイトウ・キネン・オーケストラの実力の高さが見て取れます。小澤征爾のネームバリューもあったと思いますが、何しろ欧州ツアーで聴衆を驚かせたサイトウ・キネン・オーケストラです。しかもそれが、まだサイトウ・キネン・フェスティバル松本が始まる前なんです。信じられないです、ほんと・・・

演奏も溌剌としているのが印象的。まるで甲子園初出場のチームが本来なら雰囲気にのまれて強豪校に負けてしまうようなところを、むしろうれしくて実力を発揮して勝ち上がっていくかのような・・・特に第1番ではその傾向が顕著で、重々しい演奏になりがちですがテンポは決して速くないにも関わらず生き生きと聴こえるのです。それが時間があっという間に過ぎ去っていく理由でしょう。もう30数年前の演奏であるにも関わらず、今だ色あせない演奏です。これからも聴き継がれていくのではないでしょうか。本来はこういう演奏こそ、日本の誇りなのですよね・・・

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第1番ハ短調作品68
交響曲第3番ヘ長調作品90
小澤征爾指揮
サイトウ・キネン・オーケストラ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。