今月のお買いもの、2か月ぶりになります。今回は井上道義指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるマーラーの交響曲第5番です。今回は初めて、ソニーのmoraネットストアでの購入です。flac44.1kHz/16bitです。つまりは、CD音質です。
この録音はポニーキャニオンから出ていましたが、現在ではエクストンから第4番・第5番・第6番との3枚組となっています。そっちはCDがヒットしますが、ハイレゾだとどうなんでしょう・・・録音が1990年前後なので、もしかするとハイレゾでは出てないかもしれません。まあ、私はPCにおいてTune Browserで192kHz/32bitにリサンプリング再生して聴いているのであまり問題はないのですが。
今回CD音質であっても購入を決めたのは、やはり普段の視聴環境がPCにおいてTune Browserで192kHz/32bitにリサンプリング再生ということが大きな決め手です。たとえCD音質であってもそれで充分ハイレゾに似た音質で聴くことができるからです。
ですがそもそも、この音源の購入を決めたのは、府中市立図書館で一度借りているから、です。実はその時、音飛びが激しく、特に後半第5楽章あたりで聴ける状況ではなかったことが理由です。その時にリッピングをあきらめ、Qobuzで購入を決めたのですがヒットせず(国内レーベルあるあるです)、そのため検索をかけましたらmoraでヒットしたのです。moraは通常私が購入しているストアではないですが、この辺りはさすがソニーさんで、国内レーベルでもそれなりの品ぞろえではあるので、購入の機会をうかがっていました。しかも最近、決済手段を複数持つことになりまして、moraだと使えるため、今回購入に至りました。
さて、この演奏は録音が1990年5月9日、ロンドンのロイヤル・フェスティバルホールでです。昨年の2024年に井上道義氏は引退していますが、この録音はそれよりも34年前ということになります。井上氏は当時44歳。まだ若手と呼ばれていた時代。ですが極めてオーソドックスな演奏になっています。
ですがそのオーソドックスなスタイルはロンドンの聴衆を驚かしたようで、最後の拍手は残響が終るか終わらないかというタイミングで始まっています。しかもブラヴォウ連発。如何にロンドンの聴衆を魅了したか、驚かせたかがうかがえるものとなっています。
勿論、悪く言えば平凡なのですが、日本人がその平均レベルをたたき出すのか!という驚きが、残響が終るか終わらないかでの拍手や、ブラヴォウ連発につながっていると感じます。一方で第4楽章のとても静謐なppでの開始や美しさ、そして第5楽章の段々盛り上がっていくヴォルテージ等、聴いていて秘かに感動する部分です。実はそれに私自身も感動して、これはせっかくなので購入したいと思ったわけです。通常はリッピングできなければ「まあ、しょうがない、縁がなかったと考えよう」とそのままです。ですがそれがもったいないので購入したいと思うのは、やはり魂が揺り動かされたが故です。ロンドンの聴衆もおそらく、同じ部分で感動したのではと想像されます。
井上氏自身が、そのルーツをアメリカに持つ人なので決して単純ではないということが、特にマーラーにおいては有利に働いているように思われます。
そのルーツを知ったのはこの録音の翌年だったようですが、うすうす自分のルーツに気が付いていたのではという気がします。その精神性が作品の解釈につながっているように聴こえるのです。マーラーの交響曲は本当に一筋縄ではいかないので・・・それがまた魅力ですが、その魂を掬い取る解釈は素晴らしいです。その解釈をしっかりと音にする、世界一流のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団もさすがです。
またもう一つこの演奏の素晴らしさは、マーラーの第5番だと多少ぼやかす演奏も多い中で、意外としっかりとディテールが聞き取れることです。会場のロイヤル・フェスティバルホールも残響時間は比較的長いホールですので、ぼやけた演奏にすることも可能ですが、井上氏は決してそれを選択せず、ディテールがしっかりしている演奏を選択しています。そのぼやけたということが作品の魂ではないと断じているかのようです。それは実は私自身も肯定的で、マーラーの交響曲においては、英語で言えばeveryであってallではない、ということです。つい古典派以来の音楽だとともすればトゥッティはallと同じ解釈をされがちですが、実はそうではなく、各楽器の個性が一つのアンサンブルとして成立するという考え方です。マーラーの音楽はさらにそれを進めて、複雑な旋律の絡み合いが精神の複雑さへと至っているわけで、まさにドイツ語のアウフヘーベンそのものです。井上氏はそこをしっかりと踏まえた演奏になっているのが、聴衆をして熱狂へといざなった理由でしょう。
その割には、大阪フィルとのショスタコーヴィチの第7番「レニングラード」では、奇をてらった演奏をしているように思われます。やはり大阪府や大阪市からの圧力があったとしか考えられないのです。それでわたしたちクラシックファンは満足してしまっていいのだろうかと、考えざるを得ないのです。その点で、橋下氏ははっきりと芸術に関し何ら知識を持っていない人だったと言わざるを得ず、果たして大阪関西のクラシック音楽シーンは今後安泰なのだろうかと、危惧せずにいられないのです。
買ってきたハイレゾ
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第5番嬰ハ短調
井上道義指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
(ポニーキャニオン flac44.1kHz/16bit)
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