かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:久石譲とナガノ・チェンバー・オーケストラによるベートーヴェン交響曲全集2

東京の図書館から、3回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、久石譲とナガノ・チェンバー・オーケストラによるベートーヴェン交響曲全集、今回は第2回目。第2集を取り上げます。収録曲は交響曲第5番と第2番の2つです。

交響曲第5番
ベートーヴェン交響曲第5番は有名すぎる曲ですが、通常は「運命」と呼ばれます。ただ正式に表題としてついているわけではなくほぼ日本だけで使われていると言ってもいいくらいです。ただ、個人的には「運命」と呼んでも差支えないだろうとは思っています。

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第2集に第5番を持ってきて、しかも1曲目というのが粋ですね。通常であれば第2番を先に持ってくると思われるところを、第5番が先なんです。コンサートの都合かもしれませんがコンサートの曲順をCDで出す場合は変えることもしばしばです。ですがここで第5番を先に持ってきたのは、第5番のほうが有名であるので目玉として認識されやすいこと、そして以前小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラで第5番と第2番がカップリングされ、第5番が先に来ているということもあったのではと個人的には考えます。

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この小澤征爾サイトウ・キネン・オーケストラのものは録音が長野県松本文化会館。一方久石譲とナガノ・チェンバー・オーケストラは長野市芸術館。音響としては実は後者の方が断然いいので、小澤のを意識したということはあったのではと考えます。

久石氏のアプローチは極めてアグレッシヴ。第1楽章フェルマータはそれなりに伸ばしますが、あくまでもセオリー通りの6拍。ですがそれが違和感ないのが不思議。演奏が持つ生命力、あるいは魂がひしひしと伝わってきて、その長さとかは全く気にならないんです。サイトウ・キネン・オーケストラもメンバーはそうそうたる人たちですが、このナガノ・チェンバー・オーケストラの場合まさにソリストぞろい。それはバロック期のオーケストラをほうふつとさせるもので、恐らく古典派であってもさほど変わらなかったはずです。いつもはソロあるいは宮廷にて演奏している人が、特別に集まって演奏するというスタイルだったと考えられます。それを現代で再現しているのがナガノ・チェンバー・オーケストラと言えるわけなので・・・それが実現したものが、楽譜通りでも何ら問題なく作品の魂を感じ取ることができるということであり、久石氏は証明してみせたと言えるでしょう。

交響曲第2番
交響曲第2番は1801~1802年にかけて作曲された作品です。ちょうど19世紀が始まった時期に作曲された作品だと言えます。まだ18世紀の気風が残っておりトロンボーンが採用されていません。その視点で言えば1曲目の第5番はすでにトロンボーンが導入されており、ちょうどその対比を表わしたアルバムだと言えます。

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一方で第2番ではクラリネットが採用されるなど革新性もある作品。つまり、番号順ではないにせよ、ベートーヴェンの革新性の代表的な作品を二つ織り込んできたということになります。

久石氏はこの第2番では多少どっしりとした演奏を指示していますがそれでも快速なのです。特に序奏はどっしりと始まりますが第1主題が始まると一気にテンポアップ!爽快かつ生き生きとした演奏が終始繰り広げられます。ベートーヴェンが作品に込めた革新性という、若さが迸る魂をしっかりと掬い取っています。単に「速く演奏してやったぜ!」というものではなく「新しいとはこういうことでしょ?」とベートーヴェンがニヤリとしているかのような演奏なのです。こんな演奏を日本で、しかも長野で経験できるなんて、なんて幸せなことなのかと思います。2019年に久石氏は契約終了でと前回書きましたが実際は長野市芸術館自体が予算不足のためリストラ対象になったというのが真相です。そのため音楽監督の久石氏だけでなくオーケストラも解散となってしまったのです。ゆえに活動の拠点を東京に移し名前も変更したのが実情です。この演奏を聴きますと、今でも長野が活動の拠点だったらと思わざるを得ません。ちょうど小澤征爾も亡くなりましたし、日本のクラシック音楽シーンは明らかに新しい時代に入ったわけなんですから、長野と松本と2つの場所で競い合う状況があってもよかったと個人的には考えます。まあ先立つものは金なので難しいのでしょうが・・・でも、時間という点だけで言えば在来線特急で東京と結ばれている松本よりは新幹線が通る長野のほうが東京により近い場所なんです。本来は客は明らかに長野の方が呼べるのですよね。やはり音楽がどれだけ根付いていたかということが松本と長野の差を決定づけたような気がします。また松本は諏訪にも近い場所でその諏訪には日本最古のアマチュアオーケストラの一つである諏訪交響楽団があるということも、長野ではなく松本が続いているということでもあるような気がします。セイジ・オザワ・フェスティバル松本も小澤征爾亡き後決して経済的にいいわけではないにもかかわらず続いているということは、それだけ音楽が根付く環境があることを示しているわけなんですから・・・

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
交響曲第2番ニ長調作品36
久石 譲指揮
ナガノ・チェンバー・オーケストラ

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