かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ラトルとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームスの交響曲全集3

東京の図書館から、3回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、サイモン・ラトルベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるブラームス交響曲全集、今回は最終回の第3回目、第3集を取り上げます。収録曲は第4番です。

交響曲第4番は、ブラームスが書いた最後の交響曲で、1885年に完成した作品です。そもそもは1881年にバッハのカンタータ第150番「主よ、われ汝を仰ぎ望む」BWV150の最終コラールの主題を使った交響曲を作るのはとハンス・フォン・ビューローに尋ねたことから始まっているため、構想から完成までは4年ほどかかっていると言えますが、着手してからは1年ほど、実際の作曲期間は半年程度で完成させたと言ってもいいでしょう。

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ブラームス交響曲の中で最も暗い雰囲気が漂う作品ですが、それはこの作品が擬古典的故とも言えるでしょう。第2楽章のフリギア旋法、そして第4楽章のシャコンヌなど、古典というよりはバロックの手法を採用しており、ベートーヴェンよりもさらに古い時代の様式を取り入れたということになります。このことから、ブラームス新古典主義音楽の創始者とも言われることがあります。

確かに、様式としては古いのですが、音楽としては完全な後期ロマン派です。それは確かに新古典主義と言ってもいいわけなので。ですがブラームスの音楽すべてがそうではないのでブラームス新古典主義にカテゴライズされることはありません。ですが、作曲家という稼業を長くやっていれば、どこかでベートーヴェンが第九でフーガを採用していたり、モーツァルトメサイアを編曲していたりということに出くわすはずで、それにブラームスも興味を持ったと言っても不思議はないでしょう。むしろドイツ音楽にはその伝統が脈々と受け継がれていると言えます。

ラトルはその内容を踏まえた上で、そこに仕込まれたブラームスの内面性を掬い取ろうとしています。そもそもですが、ブラームスバロックの様式を取り入れようとしたのは、彼自身の信仰と、その年齢もあるのではと私は個人的に考えているところです。ラトルもその視点で振っているように聴こえます。すべての楽章そうなんですが特に第2楽章と第4楽章というバロック様式が採用されている楽章に於いて、リズムを大切にしているのです。これはあくまでもオーソドックスな解釈ですがこれは私はまっとうだと思っていて、何故ならバロックの音楽と言うのはリズムを大切にする音楽なのです。これはリヒターの演奏に慣れてしまうとちょっと面喰うかもしれませんが、伝統的にブラームス交響曲第4番の演奏でリズムを感じないものは私の経験ではありません。それは明らかに、この第4番という作品がバロックの様式が採用されているということと無縁ではなく、特に欧州ではバロック音楽の演奏はリズムを大切にするということが前提であるということが了解されていることを示しています。実際リヒターですらカンタータ以外では実にリズムを大切にした演奏をしています。

恐らくですが、鈴木雅明バッハ・コレギウム・ジャパンに於いて昨年1月にブラームスドイツ・レクイエムを取り上げたのも、そもそも欧州においてバロック音楽というのは決してリヒターが演奏する受難曲などの感じではなくむしろ古楽演奏でリズムを立たせるほうがよりオーソドックスな解釈として通っているということからであると思いますし、ブラームスも同様だったと考えるからこそだと言えます。ラトルもまた、同様にブラームスがバッハの様式を取り入れていることの意味を考えた結果だと思います。それが結果的に作品の魂、内面性を浮かび上がらせることにつながるという確信を持っているからだと言えるでしょう。

ブラームスがバッハの音楽を下敷きにしたということ、バロックの様式を取り入れたことの意味を追求することで、自然と演奏は生き生きとしたものになっているのも魅力です。それがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団というコンビを得て、より明確になっているようにすら私には聴こえます。その意味では、まだたまに聞かれる古楽的演奏はダメという論評は、果たして真に作曲家の魂に共感しているのだろうかと、私は疑義をさしはさみたくなるのです。ラトルも同じではないかと思う次第で、仲間だ!と思える瞬間で、とても喜ばしいことです。

 


聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
交響曲第4番ホ短調作品98
サイモン・ラトル指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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