かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ラインスドルフとボストン響によるベートーヴェンの第九

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、エーリヒ・ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団他の演奏によるベートーヴェン交響曲第9番の演奏を収録したアルバムをご紹介します。

ラインスドルフのような指揮者のCDを買ったことがないために、図書館で見つけたときには借りておこうと決めていたので借りましたが、結論を先に言えば、やはり素晴らしい演奏だと思います。

ですが、いろいろ気になった点もあるのです。とりあえずウィキの説明を上げておきましょう。

ja.wikipedia.org

これはボストン響との演奏ですから、おそらく録音されたのは1962年~1969年の間、ということになろうかと思いますし、元々の音源はおそらくRCAではなかったかと思います。借りてきたときにどこのレーベルだったかなんて、つい最近ではない限り覚えていないものです・・・・・

であれば、「演奏家や管理者と揉めることもしょっちゅうであった」という期間であった、ということになろうかと思います。ここでいう「管理者」とは具体的にはボストン響のどこを指すのかが、ちょっとわからないのです。

辛口批評で有名であったわけですから、まあ、演奏家ともめることもあるでしょうよとは思うんです。それが原因で管理者ともめるのだろうなあ、と。しかしこの演奏をよく聴きますと、揉めていたのは本当は演奏家とかではなく、RCAのレコーディングエンジニアだったのでは?という気がするのです。

今回も、ソニーのMusic Center for PCにおいてDSEE HXを動作させて、ハイレゾ192kHz/24bit相当で聴いています。そうしますと、1960年代の録音にしては非常に自然な録音であることに気が付かされるのです。

いや、マイクは複数置いているようにも聴こえますのでその意味で自然とはいいがたいかもしれません。しかしながら、高音部を必要以上にいじくるなどの工作はしていないように聴こえるのです。これはほかの60年代あたりの録音とは違う特徴ではないかという気がするのです。

動作させてすぐ臨場感のある空気が漂い始めるのです。これはむしろ、さほどいじくらずとにかくできるだけその場を記録しようというエンジニアの魂すら感じられるものです。しかし当時のレコーディングではできるだけ自然な印象を与えるには高音部や低音をイコライザでいじくり倒すのが通例です(だからこそ、疑似ハイレゾはそこのデータを再現することにリソースを投入します)。それにこの録音は反しているのです。

となると、まず真っ先に衝突するのは、指揮者とレコーディング・エンジニアのはずです。ですので、実はレコーディング・エンジニアとこそ揉めていたのではないかと、疑問を呈したというわけなのです。

しかし、そんな記述はウィキにはありません。となれば、揉めるも何も、おそらくRCAのエンジニアと衝突をすでに以前しており、ラインスドルフがボストン響の音楽監督に就任するとき、条件としてRCAのエンジニアを自分好みに入れ替えてほしいとの要望を出したのではないかと想像するのです。それならば、「管理者」と当然揉めるわな、と思います。そしてその結果として、この60年代の録音としては非常に自然に聴こえる、素晴らしい演奏に結実したのではと思うのです。

つまり、ラインスドルフはカラヤン以上にステレオ録音の可能性を信じた人だったとも言えるのではないでしょうか。だからこそカラヤンとは逆に、必要以上にいじくらない録音を目指したのではないでしょうか。第九で自然に聴こえるということはおそらく、他の作品の録音では全くと言っていいほどレコーディングエンジニアがいじっていない可能性が高いのです。もちろんそれは、レコーディングエンジニアが曲に対して深い理解がある、ということに他ならないのですが・・・・・

いじっていなくても、演奏でもってきちんと作品の生命力を引き出すことができる・・・・・そう信じた人であったろうと想像します。そしてその信念は第九においてただしい選択である、と私は思うのです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
ジェーン・マーシュ(ソプラノ)
ジョセフィン・ヴィージー(メッゾ・ソプラノ)
プラシド・ドミンゴテノール
シェリル・ミルンズ(バリトン
プロ・ムジカ合唱団(合唱指揮:アルフレッド・ナッシュ・パターソン)
ニュー・イングランド音楽院合唱団(合唱指揮:ローナ・クーク・ヴァロン)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮
ボストン交響楽団

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