かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ORTリマスターによるヴィヴァルディのフルート協奏曲集

今月のお買いもの、令和4(2022)年6月に購入したものをご紹介しています。e-onkyoネットストアにて購入しました、ヴィヴァルディのフルート協奏曲集です。

レーベルはDENON。つまり日本コロンビアですね。1980年代前後のCDの登場によるデジタル化にいち早く日本で取り組んだのが日本コロンビアのDENONでした。今回はそのコロンビアがCD用として持っているマスターを、ORTという技術によってリマスターした音源を購入しています。つまり、録音された時にはCD用なので44.8kHz/16bitでマスターを作ったものを、技術で96kHz/24bitにアップコンバートの上リマスターしたものを購入した、ということです。

このコロンビアの技術が、ORT。Overtone Reconstruction Technology(倍音再構築技術)の頭文字を取ったものです。

columbia.jp

低音部の倍音を再構築してリマスターする、というのがこのORTの肝だそうで、しかもそれはSONYのDSEE HXやDSEE ULTIMATEのように機械的にやるのではなく、エンジニアがその都度関わってアップコンバートするというものだそうで、どんなもんだろと思い、試験的に購入してみたのです。

いろいろ音源があり、すでにCDで持っているマーラー交響曲第5番などは比較検討できるなあとは思いつつも、より分かりやすいのは小さい編成だろうと判断し、このヴィヴァルディのフルート協奏曲集を選択したのでした。すでに他の団体の演奏を持っている作品ですが、複数持って聴き比べてみるのも面白かろうと思い、このヴィヴァルディにしたという経緯もあります。

ですので、作品についてはウィキを提示しておくだけにとどめます。ただ、この作品はバロック時代の協奏曲と言ってもかなり先進的な作品でもあります。そもそもはフラウト・トラヴェルソとアンサンブルのための協奏曲なのですから。

ja.wikipedia.org

フラウト・トラヴェルソなので、モダンだと当然フルートになります。ですのでこの演奏でもフルートが用いられています。ただ、この音源がいつの録音なのかまでは記述がないのでわからないんですが、おそらく1980年代とかでしょう。アンサンブルが東京バッハ・モーツァルトアンサンブル(1989年設立)なので、1990年代でもおかしくはありません。その時代の割には、このアンサンブルは古楽なのに、ソロはモダンなんですよねえ。というか、モダンに聴こえると言ったほうがいいかもです。

この演奏のソリストであり指揮者でもある、有田正広は、モダンのフルートも、古楽フラウト・トラヴェルソも吹く人なので、音だけではなかなか判断付きにくいのですが、もしかするとトラヴェルソかもしれません。フルートのようにも、リコーダーのようにも聴こえますので、とすればトラヴェルソであってもおかしくありません。

ja.wikipedia.org

さて、アップコンバートの上リマスターされたこの音源はどのように聴こえるのかと言えば・・・・・ソニーのDSEE HXを外して聴いていますが、艶があるのは素晴らしい!空気感といいますか、音の存在感がCDとは異なるように思います。これだと、あえてマーラー交響曲第5番を試してみても面白いなあと思います。マーラー交響曲は大編成で響きが重厚であるからこそ、ハイレゾで聴くのに適している作品でもあります。さて、CDに比べていかに音質が向上しているのか?試してみるのは面白いと思います。

もちろん、この音源は96kHzなので、あえてDSEE HXを動作させてというのも面白いと思います。つまり、もともとが96kHz/24bitで録音された、と仮定してシステムを動作させてみるということです。それだとさらに空気感が増してきます。なるほど、確かに低音倍音を再構築するというのは、ソニー機械的であると言っても同じであるわけで、機械的なのかもっと丁寧なのかの違いでしかありません。その意味では、CDをflac44.1kHz/16bitでリッピングして、DSEE HXなどで196kHz/24bit相当にしてみるというもの一つの方法だろうと思います。

ラインナップが今は新しいものが出ていないようなので、これはおそらくですが、ソニーの技術に駆逐されたかな?という気がしています。確かにこういった技術も素晴らしいとは思います。特にコロンビアの初期のデジタル音源をアップサンプリングしながら聴く場合には、どことなく空気感が薄い感じを受けるからです。ですので、こういった技術は素晴らしいと思います。ですがSONYの技術も万能ではないので時として不満もありますが、ほとんどの場合は満足して聴くことができます。唯一不満が残るのがことごとく日本コロンビアの録音であることを考えますと、再販をCDではなくハイレゾに絞り、ORTリマスターで配信するという方法も、一つではないかという気がするのです。

それを確認するためには、まずはマーラー交響曲第5番を聴いてみなくてはなりませんし、できれば、私が一番最初に購入したベートーヴェンの第九のCDである、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリンの音源をORTで再版し配信していただけると嬉しいかなと思います。好きな演奏であるのですがハイレゾ時代だとちょっと音質で物足りなさを感じもするだけに、この技術でどのように生まれ変わるのか、聴いてみたい気持ちが湧き上がってきています。

日本コロンビア様、どうでしょう、初期デジタル録音は基本CDで再販するのではなく、ORTリマスターでハイレゾとして配信するのは。ぜひご検討下さいますとうれしいです。スウィトナーの第九が出れば、CDはもっていますがぜひとも購入してみたいと思います。そんな気にさせる、生命力もかわいらしさも聴こえる、優れた演奏が素晴らしい技術でよみがえった録音だと言えるでしょう。お勧めです。

 


聴いているハイレゾ
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
フルート協奏曲集作品10
有田正広指揮、フラウト・トラヴェルソ
東京バッハ・モーツァルトアンサンブル
(DENON flac96kHz/24bit ORTリマスター)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。