かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:マズアとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナー交響曲全集7

東京の図書館から、9回シリーズでとりあげております、府中市立図書館のライブラリである、クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏によるブルックナー交響曲全集、第7回の今回は交響曲第7番を収録したアルバムをご紹介します。

第7番という作品は、ブルックナーが生前初めて初演に成功した交響曲だと言われています。それは強烈な個性である不協和音が前面に出ているせいではないかと私は思っています。

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ブルックナー終止など、よく言われる特徴はすでに第7番以前の作品で完成されていると言っていいと思いますが、ブルックナー交響曲の、特に後半の作品が持つ和声的特徴である不協和音の多用などは、この第7番以降であろうと思います。その不協和音の使い方が絶妙でもあります。

特に、この第7番からはブルックナーのキャリアであるオルガニストという特徴がよく表れているように思われます。特に第2楽章はまさにオルガンをいかにオーケストラによって表現し、ホールを重厚な響きで満たすかに傾注されているように聴こえます。

この第7番の演奏では、マズアはオケをゆったりと演奏させることにより壮麗な響きを実現しています。しかしこれまでのリズムやテンポも重視した演奏も実現されており、第3楽章では生き生きとした演奏も聴くことができます。

さて、この演奏は「原典版」が採用されていますが、この場合、ノヴァーク版でもハース版でも「原典版」になってしまうのが第7番です。第2楽章を聴いた限りでは、ハース版を採用していると判断できます。しかしそれが違和感あるのかと言えばそんなことはありません。むしろブルックナー交響曲がオルガンから出発していることを考えれば妥当な判断だともいえますし、ゆえに不自然さもありません。

通常、宗教曲で打楽器が入ることは稀です。それを勘案する場合、むしろハースの判断は自然だと言えるのではないでしょうか。本人が校訂していない作品なのでハースやノヴァークも判断が難しかったとは思いますが、私としてはハースの判断を支持するものです。そしておそらくマズアも同じ判断だったのでしょう。

その意味ではやはり、私の判断である「マズアとオーケストラはひそかに政府に反旗を翻した」が正しいのではないか、と思わずにはいられません。通常政府がそこまで芸術に詳しいことは稀です。ヨーロッパでも「そんなもん」なんです。それでも、芸術に対する理解は日本よりも数段いいですが・・・・・

この演奏は、表面的なことで判断しないほうがいいように、さらに強く思います。

 


聴いている音源
アントン・ブルックナー作曲
交響曲第7番ホ長調原典版
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。