かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズで取り上げています、ダニエル・バレンボイムが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、今回はその第3集を取り上げます。

番号順になっているこの全集、第3集には第7番から第10番までの4曲が収録されています。初期の名作がずらりと並んでいる感じです。

この演奏の素晴らしいところは、決して力任せに弾かない、という点です。そりゃあ、バレンボイムの年齢を考えたら若い人と同じように力任せで表現する部分は少なくなるかなくなるかになります。わたしですら、よる年波をこの頃つとに感じます・・・・・すっごく悔しいですが。

けれども、バレンボイムは、ならば技術をつかって繊細な表現をすればいいのさ、とひょうひょうと弾くんですよ、これが。特にこの第3集唯一の表題曲である第8番「悲愴」は圧巻。上昇音形において合唱のように本来古典派なら高い音を強く弾くのですが、そこで力を抜いている。けれども、しっかり上昇音形において、表情がついていて、共感もできるんです。この繊細な表現といったら!

いやあ、ピアノでこういう演奏ができるからこそ、タクトを振っても、リズムが前のめりにならずにオケを歌わせるんだなあと思います。以前からなぜバレンボイムはそんな指揮ができるんだろうって疑問に思っていましたが、この演奏でその謎が解けたように思います。スペシャリストでありつつゼネラリストという、私たちサラリーマンでは非常に難しいことをいとも簡単にやってのけています。

だからこそ、ロケーションがベルリン国立歌劇場であっても、まったくそん色ないどころか、そのホールの大きさを使った、力任せではないんだけれども、自在でスケールの大きい演奏になっているんだなと実感します。

特に、現在スピーカーがPC用の貧弱なものではなく、ソニーのSRS-HG10でかつ、PCのプレーヤーがMusic Center for PCであり、さらにDSEE HXを動作させて、ハイレゾ192kHz/24bit相当にして聴いていますと、さらにホールで聴いている感覚に陥ります。もう素晴らしいの一言。さらに言えば、実はプレーヤーは排他モードにしているのでさらにノイズなどが取り除かれていい音であることも原因でしょう。これはできれば一つエントリを立てて述べたいところなのですが、PCで聴く場合はお勧めです。というよりも、すでに常識らしいです・・・・・

すでに独奏リサイタルは人数制限がありつつも開催されるようになっていますが、このコロナ禍でますますこのような技術は必要になっているように思われてなりません。バレンボイムの繊細さが生み出す「力強さ」というパラドックス。ぜひともお勧めです。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第7番ニ長調作品10-3
ピアノ・ソナタ第8番ハ長調作品13「悲愴」
ピアノ・ソナタ第9番ホ長調作品14-1
ピアノ・ソナタ第10番ト長調作品14-2
ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

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