かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:BCJによるオケ付き第九

今月のお買いもの、令和3(2021)年1月に購入したものをご紹介します。BCJによるベートーヴェンの第九です。e-onkyoネットストアでの購入です。

BCJは第九の録音はこれともう一つ、ワーグナー版を出しています。小川典子のピアノによるもので、合唱がBCJで、以前「マイ・コレクション」のコーナーで取り上げています。

その演奏を聴いたときから、BCJ管弦楽とのヴァージョンが欲しいなあとは思っていました。しかし、恥ずかしながら、もう出ていたとは思いもよらなかったのです。しかも、ハイレゾで・・・・・

実は、BCJは早くから自分たちの演奏をハイレゾで出版していた団体です。BCJのCDはSACDハイブリッドなので、そもそもはSACD、つまりはDSDの方式でハイレゾ音源を出している老舗だと言えるのです。

ですが、SACDとなると、プレーヤーはちょっとお高いのですよねえ。さすが私もそこまで手が回らなかったというのが実際です。もっと言えば、BCJSACDハイブリッドへとCDを変えたとき、その高音質を再現するだけの再生装置はプレーヤー以外はなかなか手に入りにくい状況でもあった、と言えます。希少なものであるゆえに、またスピーカーやアンプもお高い・・・・・

そうなると、そこまで手が出なかったのです。ですからハイブリッドという点を生かして、普通にCDプレーヤーで聴いていたわけなのです。まあ、SACDリッピングできればなんて言うことはないんですが、それが著作権法でかなりキツイ規制がかかっておりまして・・・・・

なので、当初これはCDで購入した音源なのです。昨年12月27日のBCJの第九を聴きに行ったその帰り、出勤途中で銀座山野楽器に寄ってCDを購入しました。もちろんSACDハイブリッドです。ですから当初はこの音源をご紹介するつもりでした。

ところが、仕事から帰ってからe-onkyoで念のため検索してみたら、なんと!flac96kHz/24bitであるじゃないですか・・・・・あらま~

こいつは悩みました。すでにCDは買ってある、最悪アップサンプリングという手もある。が、ほぼ同じ値段でハイレゾが売っている・・・・・二重投資になるのはわかっていましたが、結局flacのものも購入したのでした。いざとなればディスクユニオンで売ればいいわけですし。しかし解説がないんです、flacのほうは。なら、CDの方にはあるので、お金を出してリッピングしたと考えればいい、と割り切りました。

昨年12月27日に聴いたのと同じような、アグレッシヴな第1楽章。どっしりしつつも躍動感と生命力にあふれる第2楽章。愛は優しいものだと歌うような第3楽章。そして情熱的に連帯を歌い上げる第4楽章・・・・・どこをとっても、BCJらしい生命力に満ちた、素晴らしい演奏で、思わずブラヴォウ!と叫んでしまいそうになります。そのうえでさらに繊細さも演奏には存在し、プロオケらしい随所に細やかかつダイナミックな演奏。私もいくつか持っている古楽演奏の第九の中で、トップを争う演奏であることは間違いありません。日本はおろか、世界を見渡しても、このBCJのものに比肩する演奏は果たしてあるだろうかと思うくらいです。

正直、特段変体演奏でもありません。第4楽章vor Gott!の部分もほぼvor一拍に対してGott!は6拍。なのに、あふれ出る連帯への共感、そして讃歌。モダンも含めて、抜きんでたその存在感。バッハの時代の楽器でも第九が演奏できることを証明していると同時に、第九が作曲された時代の楽器は限りなくBCJが持っている程度に近かったことを証明した演奏でもあります。

つまり、ハンマークラヴィーアで未来を予想したベートーヴェンは、第九でも未来を予想して作曲したことがうかがえる演奏になっているというわけなのです。ほぼほぼBCJがつかっている、バッハの時代を基準とした楽器が、ベートーヴェンの時代もちょっとだけ進歩した程度と同じであったであろう、ということなのです。これはBCJが演奏する意義だと思います。ベートーヴェンはそんなまだまだ古めかしい楽器のポテンシャルを最大限に引き出し、ゆえに声楽にもそのポテンシャルを最大限引き出すことを要求した作品である、と言えるわけです。そりゃあ、テノールとかアルトとか、ソプラノは大変なわけですよ、ええ・・・・・

自分が歌った経験があるからこそ、このBCJの演奏の素晴らしさと意義がわかるんです。プロだから当たり前に弾いてしまうとはいえ、バッハの時代を基準とした性能の楽器で、片足をロマン派に突っ込んでいるベートーヴェンの第九を演奏することは、実はとてもしんどいことであるはずです。けれどもそんなそぶりは一切見せずに、エネルギッシュな生命が躍動する演奏を聴かせるBCJ。さすがです。どこにつっこみどころがありましょうや!

 


聴いているハイレゾ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
アン=ヘレン・モーエン(ソプラノ)
マリアンネ・ベアーテ=キーラント(アルト)
アラン・クレイトン(テノール
ニール・デイヴィス(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(BIS KKC6114 flac96kHz/24bit)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。