かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:グラナドス ピアノ作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から6回シリーズで、グラナドスのピアノ作品全集を収録したアルバムをご紹介します。

グラナドスと言えば、ギターで有名ですが、そもそもはピアニストです。それは以前にも取り上げているかと思います。今回はさらにまた新たな音源を借りて聴いてみた、ということになります。

グラナドスは結構私が気に入っている作曲家の一人です。ギターよりもむしろピアノでこそ素晴らしい作品がたくさんあるように思います。第1集に収録されている「ゴイェスカス」もそんな一つだと言えるでしょう。

ゴヤ風の、という意味を持つゴイェスカス。ですが印象派の絵画からインスピレーションというよりは、むしろ絵画をきっかけにして創造力を膨らませていく、という作品であると言えます。

ja.wikipedia.org

どちらかと言えば、ベートーヴェンの「田園」に近いスタンスでの作品だと言えるでしょう。そんな作品をピアノで紡ぐのは、トーマス・ライナ。実に繊細に紡いでおり、そして時には力強いタッチで、情熱を表現し、己の感覚を自然に出しているかのようです。

単に絵画が素材になっているわけではない以上、演奏者にかなりの想像力が求められるのが、「ゴイェスカス」だと思います。その作品と自らに引き寄せ、そして手繰り寄せ、咀嚼して、演奏として呈示しているその様子は、幻想的でありつつ、一人の確固とした個人の表現を見ることでもあります。

グラナドスは、この組曲のオペラ版の初演のためアメリカから帰る途中に、ドイツ軍Uボートの雷撃に合い非業の最後を遂げますが、そんなグラナドスへの鎮魂の意味も、この演奏にはあるのかもなどと思っています。どんな作品を選んでもいいところのはずですが、まずこれを第1集として選んだのは単に有名な作品であるからだけだとは思えないんです。静謐なピアニズムからは、どこかさみし気なものも感じられ、それはグラナドスへの鎮魂を意味するのではないだろうか、と考えるのです。

それが正しいかはわかりません。ただ、繊細で感受性が強かったグラナドスへの、一人のピアニストの献身なのだとすれば、なんとなくわかる気もするのです・・・・・

 


聴いている音源
エンリケ・グラナドス作曲
ゴイェスカス 恋する若者たち
第1集
①1.愛の言葉
②2.窓辺の語らい
③3.燈し火のファンダンゴ
④4.嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす
第2集
⑤5.愛と死
⑥6.終曲〈幽霊のセレナード〉
補遺
⑦7.わら人形
トーマス・ライナ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。