かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:イッセルシュテットとウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲全集2

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。シリーズで取り上げているベートーヴェン交響曲全集の、今回は第2集をとりあげます。

第2集では、第3番「英雄」とカップリングとしてレオノーレ序曲第3番が収録されています。「英雄」は結構アグレッシヴ。私好みですが、もっとアグレッシヴな演奏もあります・・・・・それに比べればという点はありますが、かなりアグレッシヴであることは間違いありません。

第3番までは、ベートーヴェンの「古典美」というものが存分に反映されていると思っていますが、同時に変化が起き始めるのもこの第3番です。第1楽章がやたら長くなりますが、同時に第2楽章も意味がありますし、第4楽章もわざと「プロメテウスの創造物」から引用しているわけです。バロック的な風格もその意味ではありますが、古典的な和声で貫き、そのうえでバロック的手法を使って意味づけする・・・・・ベートーヴェンの意欲作だといえるでしょう。後年まで「私の優れた作品はエロイカだ」と言い張っていたのも、わかる気がします。まあ、私はシンドラーでも、リース君でもありませんが・・・・・

そんな作品を、イッセルシュテットは第1楽章に重きを置く古典的なアプローチをしながらも、ロマンティックさを追求するという解釈のようです。そのうえで、オケのウィーン・フィルの豊潤かつ快活なサウンドが、存分に「エロイカ」を歌い上げます。レオノーレ第3番でも、その「歌」は貫かれており、年代的には多少ずれている二つの作品が、まるで一つの意味のあるものであるかのように聴こえるのです。これはびっくり。

もちろん、そういった演奏を特にこの時代の巨匠たちで好んでいた人がいたことは事実でしょう。しかしながら、イッセルシュテットは、ただ単にアグレッシヴに「攻める」のではなく、歌い上げることに重点を置いています。ウィーン・フィルサウンドをして、語らせるには十分です。思わずうっとり・・・・・

しかも、音もいいんです、これ。CDでかつ1960年代の録音って、どこかくぐもっていたりもするのですが、これがクリア。特に私はハイレゾ対応のソニーポータブルスピーカーSRS-HG10を据え置きとして聴いていますので、輪郭がはっきりわかる感じです。ハイレゾほどではないですが、立体感がはっきりと浮かび上がる感じです。

もっと早く出会いたかったなあって思いますが、これが出会うときだったのだろうなあと思います。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
序曲「レオノーレ」第3番作品72a
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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