東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介します。今回は、フランスの20世紀管弦楽曲を収録したアルバムをご紹介します。
そもそもは、「プロヴァンス組曲」と題されたアルバムで、このアルバム名にこそ、このアルバムの特色がにじみ出ているのです。この「プロヴァンス組曲」は、ミヨーのその作品のことなのですが・・・・・
実は、フランス六人組の一人でもあるミヨー。そのミヨーを代表とする六人組の音楽が、プーランク、そしてソゲと受け継がれていくんですが、その3人にフォーカスしたアルバムでもあるんです。
これを知ったのは、ソゲを検索していて、このブログに突き当たったからなんです。
このエントリは、主さまが別の音源を聴いたことによるものなんですが、実にむしろ私のこのエントリで言いたいことを適切にまとめているなあと思います。おそらくこのアルバムくらいは、主様は聴いた経験があるのでは?という気がします。
プーランクのオーバードはそもそも舞曲ですし、ソゲのものそうです。ではプロヴァンス組曲は違うのかと言えば、違うのですがそれほど遠くはありません。どれもバロックに範をとったという意味で、共通しているのです。
舞曲を採用するというのは、バロック以来のものですし、カンプラの旋律から展開したミヨーもそもそもがフランス・バロックに範をとったわけなので、それぞれ様子は違えども、バロックを意識したということは否定できないのです。
我が国では、古いものをそのまま持ってくることが流行っていますが、当時のフランスは、ちょうど民謡採集運動の影響を受けています。いろんな音楽運動が一つの渦となって昇華している過程です。ですから、バロックをそのまま持ってくるということをしないんですね。そもそも六人組筆頭のドビュッシーは新しい和声を作り上げた人。だからこそフランクへは攻撃さえしました。ですから、そのまま持ってくることをしないのでわかりずらいのですが、これらの音楽にはフランス・バロックの息吹が息づいているといえます。
あまり知られていないソゲも、そんな作曲家だったといえますし、それはおそらく、六人組という先達を見ているからでしょう。カントルーヴのようにそのまま使うのではなく、あくまでもその時代に合わせたアレンジをする。その結果音楽的にはむしろドビュッシーとかよりはフランクに近くなっていますが、陽気で庶民的な快活さを持っているにもかかわらず、エスプリたっぷり。
そんな作品を、ラムルーやパリ管が演奏すれば、もうノリノリです。生命あふれる演奏は、おのずと楽しくさせます。ふとクレジットを見れば、ソゲの作品は自作自演なのですねー。ラムルーの豊潤なかつ明るいサウンドが、作品のおかしさや楽しさをより引き立てます。
楽しいことは精神性に劣るという意見もありますがそれには私は反対です。その楽しさが喜びであり、魂より出るのであれば、それは精神性高いことであるといえましょう。このアルバムの各々の演奏は、一つ一つの精神性の高さを証明しています。
聴いている音源
ダリウス・ミヨー作曲
①プロヴァンス組曲
フランシス・プーランク作曲
②オーバード ピアノと18の楽器のための振り付けを伴う協奏曲
アンリ・ソゲ作曲
③バレエ音楽「旅芸人たち」
①
セルジュ・ボド指揮
パリ音楽院管弦楽団
②
ジャック・フェヴィリエ(ピアノ)
セルジュ・ボド指揮
コンセール・ラムルー協会管弦楽団
③
アンリ・ソゲ指揮
コンセール・ラムルー協会管弦楽団
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