東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介しています。シリーズで取り上げているクラウディオ・アラウが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の、今回は第4集を取り上げます。
第10番から第12番までの3曲が収録されていますが、この3曲はそれぞれ独立された作品です。第3集で多少強迫的になった演奏はこの第4集では再びカンタービレするものになっています。
かといってアコーギクは決してつけすぎず、適度な感じで、リズムも重視されています。これがクラシックを演奏することだと、私には思えます。
最近の傾向として、リズムのみを強調したり、あるいはカンタービレすることを拒否したりする演奏が多いんですが、この演奏は実にカンタービレしているので、本当に金太郎あめのごとく、どこを切っても楽しめる演奏です。
それもただの金太郎あめじゃない。ところどころ切ると違った模様が出てきたりもします。そこが面白いんですよね~。アラウが楽譜から何を掬い取っているのか、こちらが想像しつつ聴けることがまた楽しいのです。
だんだん、時期的には「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いたあたりに差し掛かるわけですが、その前の作品たちも本当に魅力的。いい演奏は、多くの人が名作と言っている作品以外でもいい作品が埋もれていることを教えてくれるからこそ、名演だといえるのではないでしょうか。
その基準からすれば明らかにこのアラウの演奏は名演だと断言できましょう。この後の中期の作品たちをどう弾くのか、もう今からワクワクしてしまって、もう仕事行きたくない!
・・・・・いや、エネルギーもらったんで、行ってきます。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第10番ト長調作品14-2
ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調作品22
ピアノ・ソナタ第12番変イ長調作品26
クラウディオ・アラウ(ピアノ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。