かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:歌曲と室内楽の作品集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はコルンゴルトの歌曲と室内楽を収録したアルバムをご紹介します。2,枚組ですので、まずば1枚目から。

どうもこれは、演奏しているゾン・オッターのパリでのライブを反映したものらしいのですが、いずれにしても借りた理由はなんといっても全曲コルンゴルトだからです。しかも、我が国では映画音楽野郎として蔑まれている、コルンゴルトの、です。

コルンゴルトだってショスタコ同様、あっかんべーだったのにって、つくづく思うんです。音楽はまさにどこを切っても後期ロマン派なのに。ここに収録されている作品も基本的に後期ロマン派の流れを組むものばかりです。しかも、先日取り上げたジークフリートワーグナーよりは遥かに個性も光ります。

私は、音楽には2つあると思っています。一つはメッセージ性の高いもの、そしてもう一つは私達を癒やすもの。この2つが時には分離しときには混然一体となり、私達に語りかけるのが音楽だと思っています。コルンゴルトの音楽はどちらかと言えば後者。だからメッセージ性が無いととこだわってしまう人にはクソだと思ってしまうのでしょうが、私は音楽には2つあると思っているので全くクソだとは思いません。むしろコルンゴルトをクソだと言う人の方をクズだと思ってしまうくらいです^^;

コルンゴルトの人生、ウィキですが挙げておきます。この人だって相当苦労しているはずだし、自分の表現ができなくなって苦しんでも居たはずなのに。

エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%88

立派なのは、アメリカ亡命後、しっかりと映画音楽の旋律から自作の純音楽を作曲する権利を持っていたってことです。おそらくコルンゴルトの頭の中にはショスタコーヴィチが居たんだと思います。あるいはアーノルドかもしれませんし。そういった人たちのことを念頭に置いていれば、コルンゴルトがどんなに映画音楽しか作曲できなくても、希望を捨てなかったのは理解できると思いますけれど。

さて、まずは1枚め。歌曲はそれぞれ戦前に作曲されたもの。「4つの別れの音楽」は作品14とかなり初期の作品。世紀末的な情緒がまだかすかに残っている感じがします。一方「道化の歌」は作品29ちもう少したった時期の作品で、なんと歌詞が英語!1936年の作曲で、ちょうどコルンゴルトアメリカとウィーンを往復していた時代。アメリカ音楽に刺激を受けて作曲した様子がありありと見え、楽しげな作品です。

一方、室内楽であるピアノ五重奏曲1921年)は和声的には作曲当時のものすら反映しており後期ロマン派からは少し遠ざかる感じで、むしろ内面性を感じます。コルンゴルトの才能の豊かさが、ここに収録されている作品からは見え隠れし、私はどうしてもコルンゴルトという作曲家を小馬鹿にすることはできないのです。ベートーヴェンシューベルトを絶賛したことから考えれば、むしろ仮にベートーヴェンコルンゴルトの時代に生きていたとすれば、絶賛し「わが魂を受け継ぐものだ!」と述べたに違いありません。

演奏するフォン・オッターを始めとするソリストたちは、そのコルンゴルトへの敬意に満ち、存分に楽しみ、作品が持つ生命力を私達に伝えてくれます。情緒性豊かな歌曲では思いっきりカンタービレし、ピアノ五重奏曲では歌いつつも、人間の内面性を鋭くえぐり、一つのメッセージとして呈示しています。だからこそ、少し疲れているようなときでも嫌味にならず、しっかりと私の魂を癒やしてくれます。それは私が暗黒面へと落ちるのを防ぎ、明日への活力を取り戻させてくれます。

これぞ表現者の仕事だと思います。それにしてもです、ドイツ・グラモフォンだから棚に置いたのでしょうが、優れた判断だと思います。コルンゴルトなど置いて!とともすれば保守、リベラルどちらからも攻撃されそうな作曲家であるにもかかわらず、棚においたのでしょうから。これは小金井市立図書館の「図書館戦争」だったのかもしれません。




聴いている音源
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト作曲
4つの別れの音楽 作品14
2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための五重奏曲ホ長調作品15
道化の歌 作品29
簡単な歌 作品なし
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メッゾ・ソプラノ)
ベンクト・フォシェリペ(ピアノ)
ヒェル・リュセル(ヴァイオリン)
ウルフ・フォシュペリ(ヴァイオリン)
エルス=エリク・スパルフ(ヴィオラ
マッツ・リドストレム(チェロ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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