かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:グラズノフ 交響曲集1

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介ていますが、今回から2回に渡りまして、グラズノフ交響曲集を取り上げます。

実は、指揮者とオケは、以前「神奈川県立図書館所蔵CD」で取り上げたことがある、セレブリエールとロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管なんです。

グラズノフ交響曲は、わが国においてはこの指揮者とオケによって広く知らしめられたと言ってもいいのではないかと思います。神奈川県立図書館だけではなく、小金井市立図書館にもライブラリとしてあるというのは素晴らしいことです。本当に小金井は小さな市ですが、司書さんががんばっているなと思います。

さて、まずは第1集。収録されているのは第3番と、未完に終わった第9番です。解説をセレブリエールが書いていますが、作品そのものを知るのには少し不適なのかなって思います。むしろ、セレブリエールがなぜ聴いている演奏となったのかを理解することに資力するものだと思いますので、ウィキを挙げておきたいと思います。

交響曲第3番 (グラズノフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%BA%E3%83%8E%E3%83%95)

グラズノフロシア五人組に数えられ、旋律も確かにロシア的なんですが、様式的にはドイツ音楽のような、クラシックの伝統に立つ音楽になっているものが多いのですが、この交響曲第3番はその宣言とも言うべき作品です。ですから、献呈もチャイコフスキーになされているってわけです。

本当はそれだけ、日本人にとっては聴きやすいはずなんですけれど、何故かチャイコに行きますよねえ。まあ、チャイコの作品のほうが確かに深みはあるとは思うんです。でも、ロシア的なサウンドの中に、しっかりとした様式があるこの第3番は、とても美しい作品です。透徹した視線は、とても幻想的なのに絵画的。でも印象派くらいまでぼんやりとはしていない。そんな感じです。

とてもロマンティックで、聴きやすく、かつ飽きもこない。素晴らしい作品だと思います。

むしろ、深みといえば未完に終わった第9番のほうがあるかと思います。第1楽章のみが残されていますが、グラズノフの作品の割には重々しい部分もあり、重厚さを感じます。着手された時代が1910年ということを考えれば、すでに勃興してきた20世紀音楽の影響を受けてもいると言えます。そんな中で、グラズノフらしさを追求していった結果、重厚になったのかもしれません。完成していればとつい思ってしまうほど、ピアノスケッチで終わったにも関わらず、素晴らしい作品です。

セレブリエールは、この二つの作品を思いっきりロマンティックにオケに鳴らさせています。所謂ベタなってやつですが。でもそれがとても心地いいんですよね〜。チャイコフスキーのような躍動感は欠けるんですが、作曲家らしく楽譜の「行間」にあるものを引き出そうと、楽譜と格闘し、想像し、共感して私たちに呈示しています。だからこそ、すっと演奏が入ってくるのかもしれません。ゆったりとした楽章でも、美しさは際だち、豊潤なアンサンブルが私達を包み込むとき、じんわりとした感動に包みこまれることでしょう。

その点はさすがセレブリエールだと思います。グラズノフの作品が持つ上品さと美しさ、その上でのロシア的な情緒がしっかりとオケに表現させています。オケもその指示にしっかりと答え、グラズノフという作曲家の作品がいかに素晴らしいのかを物語ります。二人ともロシア人ではないにも関わらず、です。それはグラズノフの作品がしっかりと普遍性を持っていることを意味します。そしてその「普遍性」というのは、セレブリエールが考えた解釈でもあるわけです。

この一つだけを聴いても、グラズノフはもっとコンサートピースとして取り上げられてもいい作曲家だと思います。




聴いている音源
アレクサンダー・グラズノフ作曲
交響曲第3番ニ長調作品33
交響曲第9番ニ長調(未完)(管弦楽化:ガヴリイル・ユーディン)
ホセ・セレブリエール指揮
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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