かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:メンデルスゾーン 室内楽全集9

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、メンデルスゾーン室内楽全集を取り上げていますが、今回はその第9集を取り上げます。

この第9集にはピアノ三重奏曲が収録されており、ある意味、第10集とはついになっていると言ってもいいかもしれませんが、なぜかは第10集を採り上げる時に申しましょう。

さて、そもそもピアノ三重奏曲というジャンルは地味なものですが、ベートーヴェンが名曲を生み出したことでその後も認知されていったと言えるジャンルだと言えるでしょう。

メンデルスゾーンはそのベートーヴェンに比べれば作曲した数は少ないのですが、しっかりとベートーヴェンが高みへと引き上げたジャンルをさらに引き上げるだけの仕事をしたと言えます。

第1番と第2番ともに、彼の人生の中では中盤から後半にかけて作曲されただけあって、特にピアノパートが充実しています。共に陰影が素晴らしく、味わい深い作品であると同時に、生き生きとしているため、聴いていて喜びを感じると言えるでしょう。

ピアノ三重奏曲第1番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%B8%89%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

ピアノ三重奏曲第2番 (メンデルスゾーン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%B8%89%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%B3)

この二つの作品は、私はメンデルスゾーンの作品の特徴をよく表していると思います。つまり、メンデルスゾーンモーツァルト以来の天才と持て囃され、実際メンデルスゾーンモーツァルトの音楽の影響にありますが、範としたのはベートーヴェンなのですね。さらに声楽ではバッハ復興を手がけ、その成果バッハの影響も少しあるという、きわめて複雑そうに見えて、それが見事に融合しているのがメンデルスゾーンの音楽であり、個性なのです。

その個性が見事にあらわているのがこの二つのピアノ三重奏曲であると言えるでしょう。第1番はモーツァルトの影響下とも言えますし、第2番はベートーヴェンの影響下とも言えるのですが、実際聴きますと全くその二人の大作曲家の雰囲気を感じさせず、メンデルスゾーンの音楽がそこにはあります。

本来、その成立過程からしますと、この二つの作品はソリストが集まって演奏するというスタイルが一番いいとは思いますが、この演奏は三重奏団が演奏するという、三重奏曲に置いては珍しいものとなっております。そのアムステルダムピアノ三重奏団は実に端正に演奏しつつ、思い切りのよさによって作品が持つ生命力を具現化することに成功しており、さらにその生命力を表現することが喜びであることがひしひしと伝わってくるのが聴いていて心地いいです。

この演奏からは、この団体の仲の良さすら想像できるようです。四重奏団も素晴らしいアンサンブルですし、場合に寄っては阿吽の呼吸もありますが、それがこの演奏でも同様になっているのが素晴らしいですね。プロが集まって団体を組んでいれば、それぞれが我を通そうとするものですが、多くのクラシック団体がそうであるように、このアムステルダムピアノ三重奏団も実にプロとしての誇りと、アンサンブルを作る喜びのバランスが取れているんですね。

アンサンブルを作らねばならない、ではなく、アンサンブルと皆と一緒に作るのが楽しい、なのです。何かに負われてやるのではなく、自主的な姿勢がそこにはあり、だからこそプロのソリストとしての技量に加え、アンサンブルの妙を、聴き手は味わうことができるのです。

世は何かを誰かに強制しようと躍起ですが、この演奏はそれが果たして正しいのかと、強烈に、しかし静かに、かつ情熱を秘めてメッセージしているように私には聴こえるのです・・・・・




聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ作曲

ピアノ三重奏曲第1番ニ短調作品49
ピアノ三重奏曲第2番ハ短調作品66
アムステルダムピアノ三重奏
 クララ・ヴュルツ(ピアノ)
 ヨアン・バークヘマー(ヴァイオリン)
 ナディア・デイヴィッド(チェロ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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