かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:デ・フォッサ ギター三重奏曲Op.18(トリオ・コンチェルタンテ)

今月のお買いもの、平成27年11月に購入したものをご紹介しています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスのアルバム、デ・フォッサのギター三重奏曲をご紹介します。

さて、このブログでは初めて聴く名前の作曲家が登場しました。デ・フォッサはスペイン生まれのフランスで活躍した作曲家で、本職は軍人だった人です。そのためか、ギターのための作品を多くのこしています。

フランシス・ドゥ・フォッサFrancois de Fossa 1775-1849
http://www7b.biglobe.ne.jp/~hello_hide/guitar/guitarist/fossa.html

ほぼベートーヴェンと同時代の人です。このブログではその時代に近い人として、ソルを一度取り上げています。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト・リスペクト3
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1050

ソルは音楽史の上では前期ロマン派の作曲家ですが、デ・フォッサはそれよりも前の古典派の作曲家となります。が・・・・・

以前、ギターの発展史においては、実は前期ロマン派を古典派と呼ぶのだと述べたかと思います。つまり、デ・フォッサはギターの発展史においては、古典派以前とも言える作曲家です。

クラシックギターの歴史
http://guitar-mugen.com/trekisi.html

ただ、音楽そのものは実に古典派となっています。このアルバムが示しているのは、楽器の発達史では前期ロマン派を古典派と呼ぶけれども、実際の音楽史に置いては、やはり古典派は古典派なのだという事なのです。

ギター三重奏曲作品18は、ナクソスのブックレットでは作曲年が明らかにされていませんが、デ・フォッサの晩年10年間(1839〜49)に出版されたとあります。3つの作品から成るこの作品18は、それぞれ4楽章で、第3楽章にメヌエットを置いています。この作品はハイドンやボッケリーニ、そしてベートーヴェンの影響下にある作品で、メヌエットの存在がそれを明確に示していると言えるでしょう。

となると、作曲されたのは出版よりももちろん前であるはずですが、19世紀に入ったあたりから少しずつと考えていいでしょう。フランス革命の余波で、デ・フォッサは様々な場所へ遠征に行っています。その合間をぬっての作曲です。19世紀に入って1849年に亡くなるまでの間の49年間で書き溜めたと、最低でも言えるでしょうし、もっと長くかかっているかもしれませんが、私としては18世紀ほど古風ではないので、おそらく19世紀に入った前後あたりから作曲を始めているだろうと予想しています。

私が19世紀と予想するには、理由があります。何がそれほど古風ではないかと言えば、各楽器が各々同じ重きをもって作曲されており、時としてヴィルトォーソ的になるからです。それでいて、古典的な会話するアンサンブルとなっており、時代としてはまさしくベートーヴェンの時代の様式であると言えるでしょう。その、各楽器を対等に扱うというのは、ベートーヴェンが確立した様式だからです。

ギターが他の楽器と同じ旋律を弾いてトゥッティするなど、ベートーヴェンの時代まではあまりなかったことでした。それがハイドンのあたりから変わり始め、ベートーヴェンピアノ三重奏曲やヴァイオリン・ソナタで積極的に取り入れ、やがて弦楽四重奏曲で確立したものです。その技法が、このデ・フォッサの作品18では、ごく当たり前に現われています。

それが、題名のトリオ・コンチェルタンテという名称に現われているのでしょう。デ・フォッサがその新しさを明確に打ち出しているという事が分かります。軍人として戦いながらも、時代には合わせていく・・・・・デ・フォッサのセンスの良さを感じます。

ギターはともすれば、音が小さくなってしまいかねないのですが、しかし、存在感はしっかりとあります。楽器3つであれば、十分存在感があることを明確に示しています。それは後世の人に、ギターをどのように使えば、その存在感が打ち出せるのかということを、示したとも言えるでしょう。恐らく、それは現代のロックの編成などに、大きな影響を与えていると言えるでしょう。ギター、ドラムス、ヴォーカル・・・・・・まるで、ギター三重奏曲のようですね。音楽がかなりうるさいので、あまり気づかないかと思いますが・・・・・

ギターによる編曲などをデ・フォッサが手掛けているということは、ギターという楽器が19世紀において比較的ポピュラーな楽器であったことを意味します。モーツァルトがピアノ協奏曲を弦楽四重奏響版に編曲したように、デ・フォッサも他者の作品をギター伴奏に編曲したのでした。そのことによって多くの作品がデ・フォッサの手によって拡がって行ったのです。このような作曲家が居なかったら、一体今のクラシック音楽シーンはなかったかもしれません。

その意味で、このアルバムはとても重要な意味を持ちます。ギター演奏だからと言って軽く見るなかれ!

ギターとヴァイオリン、そしてチェロと3つの弦楽器がアンサンブルしていますが、特にギターと他の楽器がアンサンブルする時に、テンポを合わせたり、ギター以外は弱くなったりしており、ギターをいかにアンサンブルするように聴かせるかが、細部までこだわっており、とても心地いいです。ポップスに慣れている私たちにとっては、ギターがヴァイオリンやチェロと合うのか!と驚きの連続ですが、演奏しているソリストたちは涼しい顔で、ごく当たり前のように聴かせてくれます。

まさしく、古典派の作品らしい、明確な旋律とアンサンブルが、ここには存在します。




聴いているCD
フランシス・デ(ドゥ)・フォッサ作曲
ギター三重奏曲作品18
第1番 イ長調
第2番 ト長調
第3番 ヘ長調
サイモン・ワインバーグ(ギター)
マルティン・ビーバー(ヴァイオリン)
ブライアン・エッパーソン(チェロ)
(Naxos 8.550760)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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