かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:シューマン 室内楽全集1

神奈川県立図書館所蔵CD、今回からシリーズでシューマン室内楽を取り上げます。第1集は弦楽四重奏曲第1番と第2番になります。演奏はアルベルニ四重奏団。確か元音源はブリリアント・クラシックスだったと記憶しています。

え、ピアノ作品を取り上げて、ここでもシューマン?とお嘆きのア・ナ・タ。意識してそうしたわけではありません。たまたま偶然ですよ、偶然。

にしても、不思議な巡り合わせを感じてはいます。これだけ一人の作曲家の作品をどちらのコーナーにおいても集中的に扱うのは、偶然とはいえ私にとっても初めての経験だからです。

こういうのは意識してではないとなかなかできないことなんですが、なぜか偶然のめぐり合わせによって、シューマンを「今月のお買いもの」とこの「神奈川県立図書館所蔵CD」のコーナー両方で取り扱うことになりました。

この室内楽全集を借りた時に、ピアノ作品も全集が欲しかったのは事実なんですが・・・・・人生、不思議な〜ものでーすーね〜♪

・・・・・と、昭和の演歌はここまでにして、本題に入りましょう。

シューマンには「室内楽の年」と言われる時期があります。それが今回の2曲が作曲された1842年なのです。けれども、有名なのは弦四以外の作品なのですが・・・・・

全集は弦楽四重奏曲から収録されています。通常、私たちの時代で室内楽と言うとき、まず頭に浮かぶのがソナタ弦楽四重奏曲だろうと思いますが、この全集はそれを踏まえているということになります。

まず第1番ですが、シューマン弦楽四重奏曲はピアノ的だと言われますが、おそらくこの第1番を指しているものと思われます。速いパッセージ、激しい弦の動きなど、ピアノを弾いているのを想起させる音型がそこかしこにちりばめられています。

これはベートーヴェンを意識してかも知れませんが、シューマンがピアニストであるということも、重要な要素だと思います。弦楽四重奏曲は3曲ありますが、その最初の作品であるわけですから、ピアノ的になっても仕方がないと言えましょう。

とは言え、実はその3曲は1〜2ヶ月の間に作曲されているため、時期としてはほとんど一緒なのですね。そこで、第2番がどういう作品であるかが重要になるわけです。

第2番はとてものびやかで、弦の動きも落ち着いていて、むしろモーツァルトシューベルトと言った作曲家の影響下にあるような作品です。それでいてベートーヴェンの影も見えるという、時代を感じさせる作品です。シューマンがピアノ作品で見せるような、哀愁や感傷といったものはさほど聴こえてきません。

むしろそういったものは第1番のほうで盛りだくさんで、言わば第1番は思いっきりシューマン風で、第2番は古典に範を取ったとでも言いましょうか。となると、第1番のピアノ的というのは、習作だからでもなく、第1作だからでもないと言うことになりましょう。シューマンが意識してそういうコントラストを付けたと言うべきだろうと思います。

というのは、この2曲は3曲連作の内の2つであり、作品番号も41で同じなのです。枝番号で1〜3が付いているという形なので、3つで一組であることは自明の理なのです。

ここでは、作品を成立順で並べることにより、シューマンが意図した背景というか、込めた想いというものが自然と浮かびあがるように編集されていると言えましょう。シューマンは意図して、新しい音楽というものが、伝統の中でどういった位置づけになるのかを、明確に示したと言えるでしょう。

その意味では、ピアノ作品と何ら作曲姿勢は変わることがないわけで、シューマンがめざした音楽と言うものを、私たちにレクチャーしてくれています。

演奏は近代的で、アルバン・ベルクに似た鋭いアインザッツが特徴です。だからと言ってやわらかいタッチも忘れてはいません。それがシューマン音楽が持つ、様々な側面を表現しているように思われます。ピアノから出発して、それを弦楽器に移し替え、それを違和感ないものにしていく・・・・・

バッハの様に、編曲をするということではなく、ピアニストシューマンだからこその弦楽四重奏曲を、自信をもって世に送り出したのだということを、強いアインザッツと柔らかいタッチを程よく同居させることで、明確に示しています。

こういう演奏も、渋いなあと思います。




聴いている音源
ロベルト・シューマン作曲
弦楽四重奏曲第1番イ短調作品41-1
弦楽四重奏曲第2番ヘ長調作品41-2
アルベルニ四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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