かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:テレマン 協奏曲集2

神奈川県立図書館所蔵CD、テレマンの協奏曲集の第2回目です。今回は第2集のオーボエ協奏曲集を取り上げます。元音源はブリリアント・クラシックスになります。

オーボエ協奏曲は古典派でもモーツァルトが作曲し、前期ロマン派ではウェーバーも作曲していますが、特にバロック期で数多く作曲されているジャンルでもあります。その一人にテレマンも列していることになります。

この音源に収録されている作品はすべて、序奏として緩徐楽章が付き、その上で急楽章が来ています。それを一体と考えれば3楽章ですし、また別箇と考えれば、バロック期の教会協奏曲の形式になります。つまり、丁度協奏曲の形式が近代的なものへと変わる移行期の作品たちとも言えるかと思います。

その意味では、ヴィヴァルディよりも古い形式であるとも言えるでしょう(ただ、それは当時音楽の先進地域がイタリアであったと言うことを考えればごく自然なことです)が、とにかく、時代は動いていたという証拠でもあります。バロック的な形式が変化し始め、古典的なものへと変わっていくちょうどその時代を、テレマンは生きたのだということが分かります。

バロックを聴くということは、形式面からはとても面白いことが次々とわかってきて、音楽を聴くのがますます楽しくなります。勿論、形式にこだわらなくてもいいのですが、形式に一度こだわりますと、なぜ新古典主義音楽が勃興したのかまでわかってきますから、面白いのです。

勿論、音楽を聞いた感想だけでも楽しいですが、形式にこだわって聴きますと、特に古典派以前の作品はがぜんさまざまなことを語り出すのです。

和声に於いて、実はバロックは古典派とは一風異なっています。特にこのテレマンオーボエ協奏曲に関しては、この和声進行ではないよね〜と感じる部分がありますが、かといってそれは不自然ではありません。それは後期ロマン派以降の、不協和音が多用されている作品にも通じる点なのです。

勿論、和声進行はテレマンとたとえば20世紀の音楽とでは異なりますが、古典的ではないという点で共通しています。その上で、バロックの場合決して不協和音は多用されていません。その意味では、古典派はどうも・・・・・という方には、私はぴったりな作品たちだと思います。

テレマンはこういった協奏曲を主にBGMとして作曲しましたが、不思議なことに、そんな音楽が20世紀になって、自らの意思で自由に作曲する人たちに注目されたのは面白い事象です。考えてみれば、バロック期というのはそれほど音楽の規則ががちがちに決まっていたわけではありません。確かに、音楽家の「自立」という点では恵まれていませんでしたが、作曲をするうえで古典派ほど規則が決まっていたわけではないので、興味深い作品たちにあふれているとも言えます。それに、20世紀の「自立」した作曲家たちが注目しても、けっして不思議ではありません。

だからこそ、新古典主義音楽が勃興したとも言えるでしょう。そのきっかけが、戦争(第1次世界大戦)だったわけですが・・・・・

演奏の指揮はインダーミューレ。この人はそもそもオーボエ奏者として有名で、しかも専門はバロック音楽です。ですので恐らく、オーボエはインダーミューレでしょう。オケはイギリス室内ですのでモダンですが、明らかに当時の演奏様式を踏まえています。この点からも、ピリオドが果たした役割は私は大きいと思います。確かに、ピリオドはモダンからすれば劣っていますので、それをいまさらという意見もわからなくもないのですが・・・・・

かつては、ピリオド楽器で、この演奏よりも恐らく少ない人数で演奏していたはずです。それを踏まえてイギリス室内を使っているのでしょう。バランス的にばっちりだと思います。もう少しオケの人数が少なくても充分ではないかと思いますが、この演奏でも特段不具合はないのでこれでもいいと思います。基本的に軽い演奏に徹していますので、聴き手には全く問題ないレヴェルになっているのだと思います。

これが、例えばヴィヴァルディの四季だと、重々しい演奏も多いのですよねえ。いえ、それも私はアリだと思います。ただ、あまりにも重々しいと、ヴィヴァルディの時代の音楽が持つ精神というものを聴き手が勘違いする可能性はあるなあと思います。それだけ、実はヴィヴァルディの「四季」は先進的なんですよね。それを踏まえてこのテレマンを聴きますと、なるほどこの楽章構成だと、軽めの演奏はぴったりだなと納得なのです。まだ「四季」よりは古い様式になっているからです。その時代考証が、聴き手には抜けるような青空をイメージさせますし、明るさと気持ちの良さを与えてくれます。

その点でも、実は形式や様式に注目するという聴き方も、アリなのですね。それをはっきりと、この演奏は教えてくれます。



聴いている音源
オルグ・フィリップ・テレマン作曲
オーボエ協奏曲ホ短調
オーボエ協奏曲イ長調
オーボエ協奏曲ニ長調「グラツィオーソ」
オーボエ協奏曲ハ短調
オーボエ協奏曲ニ短調
オーボエ協奏曲ト長調
トーマス・インダーミューレ指揮
イギリス室内管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。



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