かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ケルビーニのレクイエム

今回のマイ・コレは、ナクソスから出ているケルビーニのレクイエムです。ファソリス指揮、ルガノ・スヴィッツェラ放送管弦楽団他の演奏です。

ケルビーニって、誰ですかって言われそうですね。古典派の作曲家で、主にオペラと宗教曲で有名な人です。

ルイジ・ケルビーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%8B

実は、ケルビーニのレクイエムは以前からほしかったものでして、このCDの前にはドイツ・シャルプラッテンのものを物色しています。しかし、いつの間にかそれは廃盤になっててんとうからすがたを消し、私もやがて失念していたのですが・・・・・

丁度合唱団と家族との間でもめた時、別の合唱団へ移るという選択肢はないかと、横浜の横響合唱団の練習に見学を兼ねて参加させていただいた事があります。その時に練習していたのが、ケルビーニのレクイエムだったのです。ちょうど、アニュス・デイをやっていました。

半分は入団するつもりで、もし入団したらと備えて、レファレンスでCDを購入しようとしたときに、店頭の棚にあったのがこのナクソスのものでした。

ドイツ・シャルプラッテンで国内盤があったくらいですから、けっして日本でも有名でないという訳ではないのですが、知名度はやはり同じ古典派の作曲家のビッグネームたちには劣ります。しかし、ベートーヴェンはかれのオペラを賞賛し、ベルリオーズはレクイエムを「傑作中の傑作」と讃えています。

さて、このアルバムの「レクイエム」とは、ウィキで言う「レクイエム第1番ハ短調」です。ベートーヴェンの追悼ミサでも演奏されたという実は隠れた名曲なのです。様式的には古典派からロマン派の作品ですが、音楽的には少し古い様式をもつ、実はとても複雑な曲です。決して簡単な曲ではありません。

そのため、全体的に静謐でありながら、内に秘めた情熱をこの作品は持ちますが、演奏者たちはその特徴を実に忠実に再現しているように思います。ルネサンス的な和声がありながら、古典派オペラのようなドラマティックさも持ち合わせるこの曲を演奏するのは、とても大変なのです。力任せでは高音部を表現できませんし、またppはおなかからしっかりと発声しないと歌いきれません。

実は、合唱においては原則があります。高音部では力を抜くこと、そして低音部では力を入れることです。なぜならば、人間の声は、高音部では強く、低音部では弱くなるものだからで、そうなってしまうとバランスが崩れることがあるのです。

あれ、それでは古典派の「高音部では強く、低音部では弱く」という原則の反対ですねと気づいた方はさすがです。そうなのです。楽器は人間の声に追いつけ追い越せで発達してきました。なので器楽曲ではその原則通りです。声楽でも基本一緒なのですが、それは人間の声がそうであるから、なのです。

しかし、それは大編成になると統率をとるという意味で難しくなります。高音部は強すぎ、低音部は高音部が強すぎることを意識しすぎて弱すぎることも発生します。そのため、基本的に大編成の合唱曲の場合、高音部はちからを抜いて適当な強さに減らし、低音部は力を入れてしっかりと音を出させるのです。そのことによって全体的に美しいアンサンブルを実現させます。

それをしっかりとやっている合唱団は素晴らしいです。恐らく、アマチュア合唱団の多くが、これを勘違いしているように思います。もう一度指導されている先生とすり合わせをして、先生がどのような指示を出しているか、チェックしてみてください。PDCAのCですね。先生と確認しながら、いいアンサンブルを創り上げてください。

ケルビーニのハ短調のレクイエムは、そういったつみ重ねがないと歌いきれない、難曲です。一見すると簡単そうに聴こえますけれど、なめてはいけません。そういったシンプルに見える曲こそ、実は構成的に複雑で、難しいこともしばしばです。

ケルビーニのレクイエムを歌われるのであれば、是非ともライブラリに加えて置いて言い一枚だと思います。さらに言えば、この演奏はソリストを団員が担当しています。レファレンスとしてはかなりレヴェルが高い演奏だと思いますが、これを目指せば、ソリスト付であれば問題ないレベルまで達することは可能です。臆することなく練習してほしいと思います。その時に、この演奏が一つの目標になれば、いいアンサンブルを生み出すきっかけになるだろうと思います。あきらめないでください。



聴いているCD
ルイジ・ケルビーニ作曲
葬送行進曲
レクイエム ハ短調
ルガノ・スヴィッツェラ放送合唱団
グルッポ・ヴォカーレ・カンテムス
ディエゴ・ファソリス指揮
ルガノ・スヴィッツェラ放送管弦楽団
(Naxos 8.554749)



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