かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:モダン演奏のベートーヴェンミサ曲ハ長調他

今月のお買いもの、6月に買ったものをご紹介していますが、今回はベートーヴェンのミサ曲ハ長調です。このコーナーでは2度目の登場です。

一度目は、テレマン室内のものでした。

今月のお買いもの:ベートーヴェン ミサ曲ハ長調
http://yaplog.jp/yk6974/archive/961

テレマンはピリオドでしたが、この演奏はモダンです。コルボ指揮、リスボン・グルベンキアン財団管弦楽団&合唱団他の演奏です。

以前から私は、ベートーヴェンのミサ曲ハ長調はモダンでの演奏を探していました。コア・アプラウスの演奏が聴きに行けなかったものですから・・・・・

現在はCDで出ているのがほとんどピリオドなのですが、やはりモダンでの演奏も聴きたいと思うのが人情ですし、また演奏家の側としても、プロであればピリオドでも問題ないでしょうが、アマチュアが演奏する場合、ピリオドのピッチをモダンに直してというのは、慣れるまでとても大変なのです・・・・・

ですので、こうモダンの演奏も出ていることはとてもありがたいことだと思います。リスナーの側でも、やはりピッチが・・・・・という人は未だに多いのです。

これは銀座山野楽器で購入しました輸入盤です。モダンであるということもさることながら、コルボ/グルベンキアンという組み合わせにピン!と来たのです。この組み合わせ、宗教曲では鉄板です。

そして、予想を裏切らない演奏をしてくれています。全体的に質素で快速。贅肉をそぎ落とした結果、全体像が把握しやすく、かつ合唱の各パートもとても聴き取りやすいのが嬉しいです。その上で、モダン。

この上、何を要求すればいいのでしょうか?しいて言えば、ソプラノの高音部がぶら下がり気味かなあという点だけでしょうか(この点では、テレマンが断然上です!)。

やはり、ベートーヴェンの宗教曲はいいですねえ。そして、私ははっきりと、この演奏でもって、好きである順位がミサ・ソレムニスと逆転しました。もちろん、音楽史上ミサ・ソレムニスが重要であることは間違いないですし、作品としても素晴らしいと思います。しかし、全体的なまとまりが、ミサ曲ハ長調のほうが素晴らしいと思うのです。

ミサ・ソレムニスは実験的な部分が多くて、かえってそれがゆったりと演奏した時に冗長に感じてしまう原因となっているように思います(実際、贅肉をそぎ落とした演奏はミサ・ソレムニスが決して駄作ではないことを証明しています)。しかし、ミサ曲ハ長調はまとまりという点で私はその上を行くように思います。

それはおそらく、この作品がとても宗教曲的であることが原因だと思います。キリエで出た旋律がアニュス・デイでも再現されるなど、古典派までのミサ曲の約束ごとを守っているのがこの曲の特色です。その意味では、私はミサ曲の交響曲第5番だというべきだと思います。「運命」が古典的交響曲の集大成だといわれるように、ミサ曲ハ長調は古典的ミサ曲の集大成だと私は思うからです。

その延長線上にミサ・ソレムニスがあり、そしてロマン派以降のミサ曲がある・・・・・私はそう考えています。ただ、ロマン派以降の曲は単純にベートーヴェンを受け継いだわけではないことだけは、付け加えておきます。

其れであっても、ミサ曲ハ長調の存在は決して小さいものではありません。構成的にはむしろ、モーツァルトの各ミサ曲とも決して見劣りしません。数が少なかっただけで、ベートーヴェンのミサ曲も実に味があり、素晴らしいものであることを教えてくれています。

カップリングの「静かな海と成功した航海」も同様で、ベートーヴェンの声楽曲の構成能力の高さを物語るものであると思います。苦手であったのはオペラですが、そういった大がかりなものが苦手であったためにミサ・ソレムニスは冗長になったのだと思います(実際、交響曲として作曲したもう少し短い第九は切り貼りであるにも関わらず、まとまりとしては優れています)。しかし、古典的で筋肉質なハ長調ミサは、実にまとまりがいいのです。

各楽章のバランス配分もそうですし、それはカンタータでも一緒です。序奏の部分であるゲーテの「静かな海」の部分と、本体とも言える「成功した航海」の部分とのバランスとそのコントラストは、わずか数分のこの曲に緊張感を与えており、この演奏でもそれは際立っています。その分、女声が少しぶら下がり気味であるのが残念です。

モダン、ピリオドの違いを考えなければ、この演奏でもテレマン室内以上ではありません。しかし、アマチュアはモダン演奏が基本であることを考えますと、是非ともアマチュア合唱団の方には持っていてほしい一枚です。ラテン語の発音もグルベンキアンであるからこそ基本的です。尚、山野楽器では840円でした。その安さも魅力的です。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ミサ曲ハ長調作品86
カンタータ「静かな海と成功した航海」作品112
アンドレイ・ミシェル(ソプラノ)
リラ・ビジメッヒェ=アイジンガ―(メッゾ・ソプラノ)
マルクスシェーファーテノール
ミシェル・ブロダール(バス)
ミシェル・コルボ指揮
リスボン・グルベンキアン財団管弦楽団および合唱団
(Erato apex 2564 62081-2)



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