かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヤナーチェク 弦楽四重奏曲集

今回の神奈川県立図書館所蔵CDは、ヤナーチェク弦楽四重奏曲集です。プラジャーク四重奏団他の演奏です。

この時期、ベートーヴェンをきっかけにして室内楽祭が私の中で沸き起こっていました。そんな延長線上で借りましたのが、このヤナーチェクでした。

確か輸入盤だったと思います。国内盤でもあるでしょうけれど、この時ヤナーチェクの弦四がそろっていたのは、この音源だけだったと記憶しています。

ヤナーチェクも以前から興味を持っていた作曲家で、チェコ国民楽派の作曲家です。正確には、チェコというよりはモラヴィア国民楽派というべきでしょう。

レオシュ・ヤナーチェク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%AF

モラヴィアってどこ?という方、上記ウィキの該当部分をクリックしてみてくださいませ。所謂、ボヘミア地方で、チェコの南東部の地域をさします。

モラヴィア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A2

その意味では、同じ国民楽派であっても、スメタナと比べても、民族色が強い作曲家であったことは間違いないと言えましょう。

この音源では、ヤナーチェクの音楽のエッセンスが詰まっているように思います。

まず、第1曲目が弦楽四重奏曲第1番です。民族色が現代音楽的にアレンジされているため、一度聴いただけではどこが民族色なのかが分かりにくい音楽です。ウィキにも解説がありますが、そのほかに専門家のブログがありますので、ご紹介しておきます。

弦楽四重奏曲第1番 (ヤナーチェク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%AF)

関根日出男先生著作集
ヤナーチェク弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、第2番「内緒の手紙」
http://sekinehideo.blog23.fc2.com/blog-entry-38.html

この曲は、実は旋律的にはあまり民族色がある作品ではなく、むしろスラヴ主義によってトルストイの小説「クロイツェル・ソナタ」に触発された部分が民族的であるととらえるべきでしょう。第1楽章のリディア旋法は逆にとても現代的な響きとなっていますし、第3楽章ではベートーヴェンの同名のソナタが挿入されています。小説どおりの楽章構成は、この曲がベートーヴェンの楽曲に触発されたのではないことを意味しています。

むしろ、途中に入っている第2曲目のヴァイオリンソナタのほうが民族色が濃いでしょう。

ヴァイオリンソナタ (ヤナーチェク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF_(%E3%83%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%AF)

民族的な旋律が前面に押し出されたソナタは、華やかではないですが、技巧的に高いレヴェルが要求される曲です。演奏者の二人がそれぞれ寄り添っているのが、とてもさわやかな風を運んできます。

第3曲目が弦楽四重奏曲第2番。「内緒の手紙」との副題がついているのは、ヤナーチェクが晩年恋したカミラ・ストスロヴァーを意識して作曲されたことによります。とても精神的につながっていた二人を象徴するかのように、民族色が濃い中でとても知的な印象がある曲です。甘いようで、切ないようで、でも、どこかでしっかりしたものが存在するような曲です。過度に激情に走りもせず、抑制がきいた美しい曲です。

演奏面では、まず弦楽四重奏曲のプラジャーク四重奏団のアンサンブルが素晴らしく、「情熱と冷静の間」が絶妙です。力の入れ具合が特に味があり、それによって紡ぎだされる豊かな表現がたまりません。ソナタのヴァーツラフ・レメシュと萱原祐子も、淡々とした中にアクセントをつけ、ヤナーチェクの決して情熱だけではない、冷静な部分も表現しているように思います。ウィキの記載からすれば、どれだけ激しい曲かと思うかもしれませんが、決して激情で埋め尽くされている楽曲ではなく、希望を頭の中で整理してからアウトプットされたように表現されています。冷静な演奏は、それをよく表現していると思います。

この後、なかなかヤナーチェクは借りられていないのですが、また借りたいと思っている作曲家のひとりにはなっています。そのきっかけは、この音源となったのです。



聴いている音源
レオシュ・ヤナーチェク作曲
弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ
ヴァイオリン・ソナタ
弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」
プラジャーク四重奏団
ヴァーツラフ・レメシュ
萱原祐子



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