かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:モーツァルト宗教音楽全集4

今回のマイ・コレは、モーツァルトの宗教音楽全集の第4集です。収録曲は、K.49、K.65、K.194、「雀ミサ」の4つです。

この4曲には二つの共通点があります。まず、ミサ・ブレヴィスであること、そして、グローリアもしくはクレドにソロによるアカペラ部分があることです。

特に、二つ目の理由でこの第4集はまとめられていると思います。ここで初めてテーマらしいテーマが出てきたように思います。

それにしても、ソロによるアカペラとはどういうものなのかと言いますと、その部分は楽譜にないのです。すでにある聖歌などの旋律(主に2種類)から選んで、それを当てはめて歌うのです。この4つのミサにはその部分が存在するのです。だからこそまとめたと言えるでしょう。

その部分はある意味古くさい部分なのですが、ここでは説明を割愛します。というのは、それはバッハのロ短調ミサではそういった部分が存在しないから、です。モーツァルトが主にミサ曲を作曲したザルツブルクという都市は、カトリックの街であったということが重要なのです。それはルネサンス期のイタリアに源流があり、その歴史をうけついだ形式だからです。バッハのミサ曲はあくまでもルター派プロテスタントのスタンスからそれを乗り越えようとしたものなので、違いがあって当然なのです。しかし、その後主な形式になっていったのは、実はそのルター派プロテスタントだったバッハの形式だったのは面白い点ですね。

そういった時代の動きというものがモーツァルトの特にミサ曲には反映されているわけなのですが、そのうちの一つにこういった形式もあるということを、アーノンクールは主張しているように私には思います。アーノンクールはこの方面のオーソリティですので・・・・・

この第4集もその前3つと同じカジノで録音されているせいか、残響が短いのが特徴ですが、合唱は各声部がとても浮き上がっており、その上でハーモニーとして一体化しています。第3集の合唱団がウィーン国立歌劇場合唱団だったことも有るのかもしれません。歌劇場とホールとでは微妙に響きは違ってきますから。カジノとは公会堂のようなものだとは第1集を取り上げたときに触れましたが、であれば当然ですが残響は違って当然ですから。かといって歌劇場の合唱団がだめであるわけではありません。それはまたおいおいお話しします。

さて、この第4集はなぜ「各声部がとても浮き上がっており、その上でハーモニーとして一体化してい」るのかですが、やはりそれは合唱団が再びアーノルド・シェーンベルク合唱団に戻っているという点が大きいのだと思います。

アーノルド・シェーンベルク合唱団紹介
http://www.asc.at/pages/japanisch/a-norudo30fbsye-nberuku5408553156e37d394ecb.php

この合唱団はそのレパートリーやホームグラウンドからしても器用な合唱団だと言えます。そのことからアーノンクールはこの全集ではほとんどこの合唱団を起用していまして、それは当たっているように思います。ウィーン国立歌劇場合唱団はどうも器用ではないようです。それは実はこの全集はレクイエムから始まっていて、その合唱団がウィーン国立歌劇場合唱団で素晴らしいのにもかかわらず、第3集では必ずしもアーノンクールの狙いとは違った方向へ行っているからです(そうはいっても素晴らしい演奏なのですけどね)。この全集を評価するとき、この点に触れているレヴューは少ないです。どうしてもオケのピリオド演奏だけに目が行ってしまうんですね。

確かにピリオドはピッチがモダンと違いますからそれが目立つのは仕方ないと思いますが、当然ですが合唱団もそれに合うような団体でなければいけないのですが、その点が抜けている解説は結構あります。このアーノルト・シェーンベルク合唱団はモダンでもピリオドでも対応できる素晴らしい合唱団であることは間違いないでしょう。そもそも、その名前の由来になったのは現代音楽の大作曲家であり、合唱団も現代音楽の合唱に重点を置いているのですから。

アルノルト・シェーンベルク
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF

器用であるということは細部がいい加減にある可能性も秘めていますが、この合唱団はそういったことが一切なく、とてもよく訓練されています。正直、現代音楽もやるのであれば当然と言えるのですが(もちろん、それは現代音楽に限ったことではありませんが)、その基本ができていることをこれほど実感させられる合唱団もありません。

この全集はあくまでもモーツァルトの宗教音楽のですが、ウィーンの素晴らしい合唱団のアンサンブルを聴く全集という側面から聴くのも、アリだと思います。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ・ブレヴィス ト長調K.49(47d)
ミサ・ブレヴィス ニ短調K.65(61a)
ミサ・ブレヴィス ニ長調K.194(186h)
ミサ・ブレヴィス ハ長調K.220(196b)「雀のミサ」
K.49、K.194
クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)
インゲボルグ・ダンツ(アルト)
クルト・アツェスベルガー(テノール
オリヴァ―・ヴィドマー(バス)
K.65、K.220
アンジェラ・マリア・ブラーシ(ソプラノ)
エリーザベト・フォン・マグヌス(アルト)
ウーヴェ・ハイルマン(テノール
フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(バス)
アーノルト・シェーンベルク合唱団
ニコラウス・アーノンクール指揮
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(Teldec WPCS-6485)



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