かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:新ベーレンライター原典版世界初演の第九

今回のマイ・コレは、前回に続きアマチュアオーケストラの日立フィルハーモニー管弦楽団の第5回定期演奏会のCDです。2枚目はいよいよその第5回目のメインであった、ベートーヴェンの第九です。

第九に関してはその時既に結構持っていましたが、その上で、なおかつアマチュアオーケストラの演奏にも関わらずこのCDを買い求めたのは、この演奏が「新ベーレンライター原典版」による演奏で、なおかつ世界初演だったことによります。

ベートーヴェンは悪筆だったがゆえにいろんな版が楽譜にありまして、そしてこの第九ほどそれが顕著だったものはありません。それをなるべくベートーヴェンの作曲したとおりに近い形にしようと、楽譜校訂者ベーレンライターの監修で出版されたものを、新ベーレンライター原典版と呼びます。

私も以前はカワイのブライトコプフ版と、輸入楽譜の新ベーレンライター原典版と二つヴォーカルスコアを持っていました。それはあきらかにこの演奏によって日本に新ベーレンライター原典版の演奏が紹介されたことに端を発します。

ネット上ではデイヴィッド・ジンマン指揮、チューリッヒ・トーンハレ管のものが世界初演とされることが多いのですが、これは「完全忠実な新ベーレンライター原典版による世界初演」と考えるほうがいいと思います。兎に角の世界初演はこの日立フィルのものになります。

というのも、この演奏はいくつか指揮者によって再校訂されているからです。

ベートーヴェン交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付」
http://hpo.cup.com/hpo05.html

この日立フィルのプログラムほど、新ベーレンライター原典版の特徴を簡潔に伝えているものはないですが、その(2)の部分が主に指揮者によって再校訂された部分で、後は楽譜通りに演奏されています。アマチュアオーケストラなので聞き取りにくい部分はありますが・・・・・

特に注目点は、第4楽章の練習番号Mの直前のホルン。ここが従来と違いリズムに変化が付けられています。

第4楽章に二つも校訂部分があるということも、この曲がまさしく第4楽章にこそ重点が置かれている証拠でもありますし、また従来からも演奏時間等から第4楽章に重心が置かれているとされているその意見を裏付ける点でもあります。

演奏はと言いますと、これが意外と素晴らしいのです。私も数々のアマチュアオーケストラと共演してきましたが、これほど上手な団体は私の経験からはないと言っていいと思います。ところどころで縦の線が崩れそうになりますがそれをよく建て直し、重要なところではアンサンブルを合わせます。指揮者の技量もさることながら、オーケストラの意識が高いのだと思います。また合唱団もよく歌いきっています。下手に叫ぶような点が少なく、なるべく美しく歌いきっている点はとても評価できると思います。これがこの曲は本当に難しいのです。第九はもう歌いあきたよと言う方は、是非ともこの演奏を聴いてみていただきたいと思います。そんな甘い言葉はこの演奏の前には通用しません。

第九という曲は本当に奥深く、どんなに昇ってもその頂が見えない高い山であることを実感させられます。だからこそ、私はこの演奏がアマチュアであるにも関わらず、携帯に入れているくらい、好きな演奏の一つとなっています。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
矢島瑪紅美(ソプラノ)
森山京子(アルト)
井ノ上了吏(テノール
鹿野章人(バリトン
ひたち第九を歌う会(合唱指揮:木村義昭)
神宮章指揮
日立フィルハーモニー管弦楽団
(トランスライブ TVL-9.801.47)
※合唱団名はサイトでは「日立ファミリー混声合唱団」となっていますが、ここではCD販売当時の名称に従いました。



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地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。