かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ワーグナー交響曲集

今回の神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、ワーグナー交響曲集です。若杉弘指揮、東京都交響楽団です。

ワーグナーと言えばオペラ、しかも「楽劇」ですが、実は初めは交響曲作家として出発しようとしていたのです。その証拠が、この音源に入っている二つの交響曲です。

ワーグナーは二つ交響曲を書いていますが、そのうち完成したのは一つだけで、それが2曲目のハ長調交響曲です。ただ、未完成のホ長調交響曲も実に素晴らしい曲です。形式的にも優れていますし、なぜこれを放棄してしまったのか、残念に思います。

二つともソナタ形式を備え、ハ長調交響曲では4楽章の構成は伝統に即しています。以下のウィキの記述からしますと、ドイツでは当時それなりに評価されていたようです。

交響曲 (ワーグナー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2_(%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC)

ベートーヴェンにあこがれて作曲を始めたワーグナーです。もちろん、交響曲ベートーヴェンに触発されて書いているわけなのですが、音楽的にはむしろウェーバーに近い感じがします。しかし特にハ長調交響曲が素晴らしいのは、その中にきちんとすでにワーグナーらしい和声が聞こえるという点です。

ハ長調交響曲の初演は1832年で、実は以前取り上げたベートーヴェンの第九のピアノ版への編曲WWV9とほとんど同じ時期なのです。

マイ・コレクション:BCJ小川典子のコラボレーションによる「第九」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/690

第九の初演が1823年。それから数えること9年後に、ワーグナーハ長調交響曲を発表したことになります。ところが出来上がった曲は、ベートーヴェンというよりはむしろウェーバーの雰囲気をもった作品だった・・・・・これはとても興味深い結末です。

その理由はウィキでは明らかになっていませんし、ブックレットにも書いてあったか記憶が定かではありません。確実に言えるのは、ウェーバーワーグナー一家と親交が深かったということでしょう。それは下記のウィキに記述があります。

リヒャルト・ワーグナー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC

それと、ベートーヴェンはやはりおこがましいという彼なりのベートーヴェンに対する遠慮があったのだと思います。そういった点が相まって、彼の交響曲、特にハ長調交響曲ウェーバー風になったのだと思います。特に、ウェーバーがその時既に故人であったということも、そういった作風になった一つの理由でもあるのだと思います。

ウェーバー交響曲は2曲なのですが、少なくともワーグナーは同じだけは書きたかったのか、スケッチも多く残されていますが、結局彼はウェーバーも手掛けた、オペラの方向で名声を上げることとなりました。それを考えると、この交響曲群を聴いていますと、ワーグナーに強い影響を与えたのは、第九と並びウェーバーであったということも、わかります。後年、ハ長調交響曲をコジマの誕生日に演奏したという彼の行為からは、自分の基礎はあきらかにウェーバーにあるんだという宣言でもあるようにも思います。

今ではいくつかCDが出ているようですが、私が借りてきた2年ほど前は、この音源が唯一の演奏であるとのことで借りてきました。ワーグナーがもしその事実を知ったとしたら、いったいどんな顔をするんでしょうか。

「私の基礎はウェーバー先生なんだ!楽聖だけではない!」

そう怒られそうですね。その意味では、都響は素晴らしいものを残していると思います。演奏も端正で、音楽を形として浮かび上がらせるような演奏をしています。それだけに、ウェーバー風の彼の音楽が、より一層引き立っているように思います。



聴いている音源
リヒャルト・ワーグナー作曲
交響曲ホ長調WWV35
交響曲ハ長調WWV29
若杉 弘 指揮
東京都交響楽団



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