かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク 交響曲第7番・第8番

今回の県立図書館コーナーは昨日に引き続き、ドヴォルザーク交響曲を取上げます。指揮はオトマール・スウィトナー、オケはシュターツカペレ・ベルリンベルリン国立歌劇場管弦楽団)。交響曲第7番と第8番です。

彼の交響曲を全部集めるために借りることを決意した私ですが、この一枚を借りる時には正直迷いました。それは8番をすでに名演といわれるノイマン/チェコ・フィルで持っていたからです。もう10年くらい聴いている演奏ですし、それとどうしても比べてしまいます。

ですから、どうしようかな〜と悩みましたが、結局「では、ノイマンで7番を買った場合、すぐ手に入るのか」と自問したところ、こたえはノーでした。

8番ならすぐ手に入ります。勿論、9番も。しかし、意外と7番のような曲というのは品薄であることが多く、取り寄せになる可能性の方が高い状況でした。

しかも、それを確認するために一度銀座の山野へ出向かなくてはならない。そのために支払う電車賃も考えなくてはならない・・・・・

そう考えた結果、下した結論は、「もうひとつ、8番を持ってもいいじゃないか」というものでした。それを後押ししたのは、同時鑑賞会でのいろんな経験であったことは間違いありません。

案ずるより産むがやすしといいますが、結果はその通りでした。確かに8番自体は既存盤を超えることはありませんでしたが、かといって借りて損したということは全くありませんでした。それよりも、私の意見「ドヴォルザークは鉄として交響曲を書いた」ということがますます証明されたような気すらしています。

特にそれを感じますのが、散々悩んだ8番だったのです。思いっきり早いテンポ。激しい弦の動き。吼える金管。最後の部分を等速で入ってゆく処理。どう考えてもこれは「機関車」が通り過ぎてゆく様子としか、鉄道ファンである私としては感じ取ることができませんでした。

つまり、私にとって上級のレファレンス資料となったのです。

7番も、冒頭部分はピアニッシモで始まりますが、その様子はまるで機関車が出発する前に蒸気を吐き出しているかのようです。構造的に、ソナタ形式第一主題を前奏に使うなんて独創的ですが、それはまさしく動きだす前の機関車を表現しているからこそのように思いますし、それをまるで意識したかのような解釈をスウィトナーはしてくれています。

実は、今でもドイツとチェコの間の移動の主流は鉄道だそうで、多くの国際列車が航空機に負けずに運行されています。さらに、この演奏の時代は東西冷戦時代。当然、チェコ東ドイツの間の移動は鉄道しかないと言ってもいい時代です(勿論、空路もありますが、主流ではありません。北海道と一緒です)。そういう背景があるのだと思います。

もしかすると、私たち日本人が知らない何かがドイツとチェコにはある、そんな気がするのです。ですので、私はもし機会があるのなら、チェコとドイツを旅して、ベートーヴェンでもモーツァルトでもなく、ドヴォルザークがなぜこのように鉄道ファンならビビッ!と来るようなリズムと音形、そして構造をとったのかを調べてみたいと思います。きっと、現地にならばそれをとく鍵があるはずなのです。

鉄道ファンの逸話はアメリカにしか残されていませんが、それほどの「鉄」ならば、当然祖国やコンクールで行ったドイツ、オーストリアにその証拠が残されていてもおかしくないと私は思っています。

世界は今空前の鉄道ブーム。日本でも今年7月には成田スカイアクセスが開通し、12月には東北新幹線新青森まで開通します。もし、ドヴォルザークが今の現状を見たら、どんな曲を書くのだろうと思います。そんな思いをいっそうかき立てる演奏です。



聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第7番ニ短調作品70
交響曲第8番ト長調作品88
オトマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリンベルリン国立歌劇場管弦楽団
(元CD:徳間ジャパン ドイツ・シャルプラッテン 32TC192)