かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:NHK大河ドラマ主題曲集「独眼竜政宗」

今回のマイ・コレは、NHK大河ドラマの主題曲集を取上げます。演奏は勿論、NHK交響楽団ですが、指揮はいろいろな方が振っていらっしゃいます。書ききれませんので、それは割愛させていただきますが・・・・・

これが実に多彩なのです。名だたる日本の名指揮者が振っておられます。しかも、この曲集には必ず作曲者名が載っているのがまたうれしいです。

このCDは当時放送されていた「独眼竜政宗」までが収録されており、全25曲が収められています。現在では大河ドラマがその倍くらいまでになっているわけで、数年前から2枚組みになりました。

つまり、このCDは毎年出ているのです。ですから、これと全く同じCDが手に入らなくても、同内容のものを違うタイトルで手に入れることができます(現在は、「龍馬伝」ですね。ただ、時期的にはもしかするとまだ「篤姫」かもしれません)。

ただ、私はこのCDはNHK放送センターで買ったのではなく、地元のCD店で買い求めました。当時、独眼竜政宗はものすごい視聴率で、人気のあった大河ドラマでもあります。

梵天丸も、かくありたい」

というせりふを覚えていらっしゃる方も、多いと思います。

私が買った理由は勿論、歴史が好きだったからですが、もう一つ理由があります。それは、大河ドラマの楽曲というのは、実は日本の戦後管弦楽の一つの歴史を物語るからなのです。それと、大河ドラマの主題曲というのは、ある意味ワーグナーの「ライト・モティーフ」と一緒で、それを聴きますとドラマを回想できるという特色を持ちます。

このCDを買ったときに、再放送で実は「黄金の日日」をやっていました。その音楽がすばらし、それも聴きたいという点もありました。他にも聴きたい大河ドラマが盛りだくさん!特に、「音楽の広場」や「題名のない音楽会」でも何度か取上げられることが多かった「赤穂浪士」!

ですので、迷わずこのCDを買い求めました。

大河ドラマの第1作「花の生涯」が放送されたのは、昭和38年(1963年)。それから10数年間は音声がモノラルで、当然主題曲もモノラルですが、このCDでは擬似ステレオを使って再現されているものもあります。

そんな中でも異彩を放つ曲がいくつかあります。その一つが、昭和45年放送の「樅(もみ)の木は残った」です。作曲は依田光正、指揮は岩城宏之、演奏はNHK交響楽団です。今年のテレビドラマでもリメイクされて放送されましたので、物語はご存知の方も多いと思います。原作は山本周五郎

仙台藩家老、原田甲斐を主人公に、いわゆる「伊達騒動」の顛末を描く名作ですが、その様子をものすごい現代音楽で描く一方、そこにひちりき等を登場させるなど、単なる現代音楽だけで終わらせない工夫がなされています。

現代音楽の極地という曲もありますが、私はこの「樅の木は残った」のような、現代音楽の中に日本情緒を表現している曲が大好きで、こういう現代音楽なら充分聴けるなあと、当時思ったものです。

ただ、時代が下るにしたがって、メロディアスなものが増えてきます。その分水嶺になったのが、ちょうど私が大河ドラマを見始めるきっかけにもなった昭和54年放送の「草燃える」です。鎌倉三大将軍の物語ですが、この主題曲はとてもメロディがはっきりしていて、その後、大河ドラマの主題曲は基本的にメロディアスなものになってゆきます。

その中でも、楽曲的にすばらしいのは昭和58年放送の「徳川家康」から昭和62年放送の「独眼竜政宗」までの5年間の作品と、これらに加え昭和55年放送の「獅子の時代」です。特に、「獅子の時代」は作曲が宇崎竜童で、いわゆる「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」なんですね。ドラマの挿入歌も彼の作曲で勿論歌っており、特に印象的なのは砺波藩の藩士たちが北海道へ屯田兵として開拓へ向かうシーン。あれは何度見ても忘れられません。そこに、宇崎竜童が歌う歌がロックながらせつせつと流れる・・・・・

涙なしには見ることができません。そういう、「ライト・モティーフ」がたくさんあるのです。

大河ドラマの主題曲というのは、いわば現代音楽であり、国民楽派でもあり、さらにはワーグナーの楽劇でもあるのに、しっかりと一つのジャンルを形成して、個性を放っているという点にこそ、すばらしさがあるのです。



聴いているCD
NHK大河ドラマ主題曲集「独眼竜政宗
岩城宏之他、指揮
NHK交響楽団
(ポリドール H30N23035)
※上記の演奏は「独眼竜政宗」を代表にあげました。また、CD番号ですが、本文中でも触れましたが、すでに昨年もしくは今年の盤が出ているはずですので、そちらをお買い求めください。この番号のものは確実に廃盤になっているはずです。新しいものを買いましても、「独眼竜政宗」まではしっかりと入っています。むしろ、それ以降の作品が聴けますので、そちらもお勧めです。