かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

想い:オケのアンサンブルは室内楽から

最近、オケのアンサンブルが悪くなったという話をよく耳にします。私は特にそう感じないのですが、それはCDを聴く機会のほうが多いせいなのかもしれません。

もし、悪くなったのだとすれば、それは楽団員が周りの音を聴けていない証拠だと、私は思います。

いろんな理由、金銭面や環境面もあるでしょうが、まずは私は「耳」だと思っています。特に、オーケストラの団員が室内楽団体を作っているのかどうか、そのあたりがわかりませんと私は悪くなったといいましても何ともいえないと思っています。

それは、実は前にもご紹介しましたが、地元のアマチュアオケ、宮前フィルハーモニー交響楽団で目の当たりにしているからです。

もう10年以上前になります。私は姉妹団体の合唱団「宮前フィルハーモニー合唱団『飛翔(はばたき)』」に入っていました。姉妹団体の関係上、あるとき彼らの合宿で賛助団体として演奏を披露することになりました。

合宿で何をやっているのかといいますと、実は何人かでアンサンブルを組んで、自分たちで発表会をやっているのです。しかも、扱う曲はすべて室内楽の名作だらけ。中には、音楽監督(共通の方でした、というと一部の方には名前がばれてしまいますね)が禁止しているにも関わらず、モーツァルトを取上げている人たちもいました。

「だって、本人がモーツァルトを研究すべきだって言っているのに、やらないなんて馬鹿らしいでしょ?本人が禁止しているいないなんて、関係ないよ」

モーツァルト以外は聴くに耐えうるものでしたが、さすがのモーツァルトは撃沈でした。それでも、彼らは必死で演奏し、最後まで演奏しきりました。私はそれを頼もしく思ってみていました。自分が歌うなんて二の次で。

これが、ヨーロッパの団体が本来やっている、自己鍛錬なのだな・・・・・

実際、彼らは演奏会ごとにうまくなってゆきました。勿論、プロと比べて遜色ないなんていうつもりはありません。プロに比べればまだまだです。それでも、彼らのうまくなりたいという気持ちは、うせることはありませんでした。しかしそれは、すべて手弁当です。

当時、宮前フィルも設立間もない時期でしたから、私たち合唱団同様貧乏でした(合唱団よりは裕福でしたけど)。ですから、遠くへ行って合宿するというわけには行かず、川崎市内にある施設を借りて、そこで寝泊りしていました。実際、宿泊する部屋もあるそうで、食堂も完備しています。そこには、ステージも小さいながら常設でありました。

勿論、もともとオーケストラ用に整備された施設ではありません。しかし、それを創意工夫して使用して彼らは腕を必死に磨いていました。ステージも決して大きくなく、だからこそ彼らは室内楽でアンサンブルを磨いていたのです。その最終日が、各アンサンブルの発表会で私たち合唱団員はそこに参加したのです。

そんなことをやりたいね、と合唱団でもいっていたら一度だけ実現しましたが、彼らのようには行かず、結局親睦会で終わった経験があります。

やはり、オケはすごいね・・・・・その「親睦会」で終わってしまった自分たちの合宿からの帰り、私が運転する車中でそんな会話をしたのを覚えています。

こういうことをプロがどれだけやっているか、なのです。いや、それは当たり前だというのならばいいのですが・・・・・それなら、確かに事業仕分けに問題点があるかと思いますので。しかし、それをやっていないのだとしますと、これは大問題だと私は思っています。

マチュアですらやっていることを、プロがやらないというのは、あまりにも怠慢なのではないか、そんな気がするのです。

私は、どのオーケストラでもそれはやられていると信じています。ただ、表立って出てきませんね。ベルリン・フィルなどは、そのアンサンブル団体が日本に来て演奏会を開くほどですし、CDもグラモフォンから出しています。日本のオケもそれくらいの団体があってもいいような気がします。

まだまだ、やれることは山ほどあるのではないでしょうか。