かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

想い:オーケストラとの関わり方を考えよう

先週も取上げましたが、クラシックの予算が減らされるという事業仕分けの結果が一人歩きしています。

先日テレビを見ていましたら、実際の結果は国の予算としては削減だが、それは地方で予算をつけることが条件だという仕分け人の話がありました。

それなら、納得なのです。

海外を見てみますと、ほとんどのオーケストラが民間あるいは地方公共団体から資金援助を受けており、国から援助を受けているなどというオケはたいていその国が旧共産圏だったところばかりです(例えば、ロシアとか)。

それを考えますと、今回の仕分けはとても欧米、特に西欧の考えに近くなったといえるでしょう。ある意味、現在の日本の政治体制の下ではとても健全な方向へ向かっていると思います。

確かに、伝統芸能の中には国が予算をつけるべきものもありますが、残念ながらクラシックはそこまでまだ日本の伝統芸能になってはいません。

ですから、基本的に民間で支え、その足りない部分を地方公共団体が税金で支えるという構図にしなくてはならず、そのためにいい答申が出たのではないかと思います。

前回、アマチュア合唱団を取上げましたが、今回は私が住む地元のアマチュア・オーケストラを取上げます。宮前フィルハーモニー交響楽団といいます。この団体は10数年くらい前、地元に住む作曲家で指揮者である方が立ち上げました。以後、いろんな方が指揮をされ、演奏キャリアも充実しています。以下にURLをあげておきます。

http://orchestra.musicinfo.co.jp/~miyamae/

このオーケストラには国からの予算は投入されていません。川崎市からのコンサートごとの援助はあるようですが、ほとんど団員の手弁当です(2011年9月19日:オケの関係者より、一銭も入っていないとの回答を得ました)。

オフィシャルサプライヤーとしてはコンサートごとに地元の信用金庫がついていますが、それ以外は全くの手弁当なのです(2011年9月19日:さらに、川崎市からの「後援」をいただいているとの御返答を得ました)。

ここに、プロのオーケストラが生き残ってゆくヒントがあると思っています。例えば、アマチュアオーケストラなら手弁当でも済みますが、プロはそれで食べていかなくてはなりません。しかしながら宮前フィルは手弁当にも関わらず、地元川崎市宮前区だけでなく那須などでも演奏をしますし、また地元幼稚園のイベントや町内会の行事にも参加しています。

そこにプロのオーケストラが地元密着の形で入ってゆくという考えはないのでしょうか。ただし、そのためには私たち市民の側がしっかりと「オーケストラを支えるんだ!」という気概がなくてはなりません。

宮前フィルの場合、しっかりとファンが出来上がっています。勿論、その中にはオケの関係者がお情けで聴きに来ている場合もありますが、そうではない地元のファンもいます。そうでなければ、900人を収容する宮前市民館をいっぱいにすることはできません。

少なくとも、私たちにできることは、コンサートへ足を運ぶこと、そして地元がしっかりと金銭面で支えることなのです。それが、いずれ精神的な面で団員を支えることなり、私たちの精神面にも返ってきます。

確かに、私達が支えるといっても金額的は少ないです。ですから、最終的にはその地域の公共団体、つまり県や市区町村が税金でささえるということになろうかと思います。それでも、自分達が自腹を切り、さらには税金で支えているということがやがて誇りになってゆきます。それがプロであろうとも、「自分達のオーケストラ」という自負が育ってゆくのです。

もともと、宮前フィルは創立指揮者がそういったオケを作りたいという希望から始まっています。私は、10数年たってそれは花開いていると思っています。同じようなオケが周辺でそれ以後3つほど成立し、いずれも今まで活動をしてきているからです(うち2つはお隣横浜市青葉区都筑区です)。

勿論、宮前フィルのやり方がそのまま通用するなどとは私も思っていません。このオケがある地域は日本でも有数の税収を誇る、いわばお金持ちが多く住む地域です。だからこそ、団員の手弁当で成立するわけです。では、プロオケが集中している東京でできないかといえば、私はそれは充分できるとおもっています。少なくとも、横浜市川崎市に比べれば東京ははるかに財務的に豊かです。

問題は、地方オケだと思っています。市民や企業では支えきれない部分をどう市区町村、あるいは広域でも府県レヴェルで支えるのか、その仕組みを作ることが非常に重要になってくると思います。

ただ、宮前フィルも川崎市から湯水のごとく税金投入を受けているわけではありません。微々たるものです。ですから、この宮前フィルの財政はそのまま地方のプロオケの状況といっても差し支えないほどだと思います。

そこで、重要な役割を果たすのが私は町内会なのではないかという気がします。町内会で例えばコンサートへ行こう会などを企画し、市民が足を運ぶようになれば、おのずと熱心なファンが出来上がります。そうすれば、税金投入もコンセンサスを得られやすいように思います。

もっと言えば、これはサッカーJリーグで既に取り入れられている方式です。そこに地方のオーケストラが生き残る道は必ずあるように思います。

実際、地方の方が熱心なファンが大勢いて、地方のオケの演奏の熱気というのはすばらしいです。いずれ、「マイ・コレクション」でもご紹介して行こうと思っていますが(既に、朝比奈さんで大阪フィルはご紹介していますが)、地方のオケの実力はかなりのもので、東京のオケに引けを取りません。その魅力にどれだけ地元の方が気づいて下さるかで、日本のオーケストラの未来は開かれてゆくと思います。